財務 事例
事例問題を解く際は、全事例共通して次の順番で考察していく。
1.事例会社(社長)の経営理念を確認する。
2.SWOT分析による外部環境分析と内部資源分析を行う。
3.経営戦略(ドメイン)の設定を行う。
4.事業戦略の構築および機能別戦略の構築を行う。
財務事例の場合は、「4.」の段階で財務戦略を考えることになる。
財務戦略
財務事例の場合もSWOT分析を行う。分析した結果をもとに第1問目の経営分析で事例企業の財務的な問題点を指摘し、続く第2問目以降でこの問題点を解決していく形だ。
財務戦略の基本は経営分析だ。経営分析は、損益計算書や貸借対象表の数字、つまり売上高や在庫量などの定量的な分析だけではなく、与件で与えられた外部環境の変化や事例企業の状況といった定性的な分析も加えて行わなければならない。つまり、利益率の数字が悪化したことを単に回答するのではなく、数字が悪化した原因まで考えて回答を行わなければならないということだ。
経営分析で指摘した問題点は、後に続く設問で解決していく。まず、損益分岐点分析やキャッシュフロー分析を通して問題の原因究明がなされる。次に、投資の経済性計算や商品ミックスの最適化を考察することにより、商品開発力や限界利益率の向上を図ることで収益性を改善していく。
経営分析 主な指標
売上高対総利益率
→商品の低価格化、多様化、値引き圧力などの与件情報があるとき
売上高対営業利益率
→利益を圧迫している販管費、人件費などの与件情報があるとき
売上高対経常利益率
→借入金による金利負担が大きいなどの与件情報があるとき
商品(棚卸資産)回転率
→商品の多品種化による在庫増加などの与件情報があるとき
有形固定資産回転率
→有形固定資産の有効活用ができていないなどの与件情報があるとき
売上債権回転率
→与信管理がうまくいっていないなどの与件情報があるとき
流動比率
→全体的に流動資産が少なく、短期支払い能力の低さを指摘するとき
当座比率
→特に現金・預金が減少しており資金繰りが厳しいとき
自己資本比率
→借り上げ金が多いとき
売上高対売上原価率
→売上原価が特に大きく、費用負担を強調したいとき
販売費・管理費比率
→販管費が特に大きく、費用負担を強調したいとき
売上高対人件費比率
→人件費が特に大きく、費用負担を強調したいとき
経営分析 問題点の書き方
利益率
~(与件の問題点)のため、収益性が低い点である。
~(与件の問題点)のため、収益を圧迫している点である。
回転率
~(与件の問題点)のため、資産効率が悪い点である。
安全性
流動比率、当座比率:~(与件の問題点)のため、短期支払い能力が低い点である。
自己資本比率:~(与件の問題点)のため、資本の安定性が低下している点である。
損益分岐点分析とキャッシュフロー分析への対応は必須
損益分岐点分析の言い回し例
>D社が経営政策をこのまま続けると、変動費率は一定のため、売上高の減少に伴い、
固定費を賄いきれず営業赤字に陥る状況になる。
>平成17年度の損益分岐点の特徴は、平成16年度に比べて労務費や減価償却費等の
固定費が増加するものの、販売単価の上昇や運搬費の削減効果などで限界利益率が
向上する結果、損益分岐点比率が改善されることである。
キャッシュフロー分析の言い回し例
>D社は、営業赤字や在庫増加による営業活動キャッシュフローの減少を
投資・財務活動で賄えずキャッシュが流出している状況である。
>D社のキャッシュフローは減少している。理由は、売上債権や営業外費用の増加が影響して
営業活動によるキャッシュアウトおよび投資活動によるキャッシュアウトを財務活動による
キャッシュインで補えなかったためである。
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