2010年1月14日木曜日

各事例の対応方法 組織・人事事例

組織・人事 事例

事例問題を解く際は、全事例共通して次の順番で考察していく。
 1.事例会社(社長)の経営理念を確認する。
 2.SWOT分析による外部環境分析と内部資源分析を行う。
 3.経営戦略(ドメイン)の設定を行う。
 4.事業戦略の構築および機能別戦略の構築を行う。
組織・人事事例の場合は、「4.」の段階で組織戦略と人事戦略を考えることになる。

組織戦略

組織構造
 組織戦略は、「部門、階層、権限、コミュニケーション」の視点で効率的な組織運営を可能とする組織構造と良好な組織文化の形成を目的とする。
 組織構造は、機能別組織、事業部別組織、マトリックス組織などが代表的なものだ。そのメリットとデメリットを考えると以下のようになる。

組織構造のメリット・デメリット
 機能別組織
  メリット :各部門の専門性向上、命令系統の一元化、規模の経済性の追求
  デメリット:部門間のセクショナリズム、トップの負担増大、意思決定の遅れ
 事業部別組織
  メリット :意思決定の迅速化、利益責任の明確化、経営人材の育成、トップは戦略に専念可能
  デメリット:事業部間連携の低下、経営資源の重複、短期的利益の追求、全社利益より事業部利益を優先
 マトリックス組織
  メリット :環境変化への柔軟な対応
  デメリット:部門間調整の複雑化、命令系統の混乱

 事例で組織構造上の問題点が述べられていた場合は、この組織構造のメリット・デメリットを考慮の上、別の組織構造へ移行することを考える。この場合、現状の組織構造におけるデメリットを述べ、別の組織構造へ移行する際のメリットを理由に効率的な組織運営ができることをアピールするのだ。

組織文化
 組織文化は、組織の中で共有された行動原理や思考様式のことだ。事例上、組織文化に問題があると指摘された場合は、以下のキーワードを使用して記述すると回答しやすい。

組織文化の問題点における着目点
 社長のリーダーシップ
 バーナードの組織成立3要素:共通目的、貢献意欲、コミュニケーション

 経営理念(ビジョン)のもと、社長のリーダーシップによって問題を克服していく視点と組織成立の3要素である「共通目的、貢献意欲、コミュニケーション」を切り口にして問題を多面的に分析する視点が、良好な組織文化を形成する上で重要なポイントだ。

人事戦略
 人事戦略は、「雇用、人事考課、賃金、教育訓練」の視点で従業員のモラール向上と専門的知識や技能を習得するための能力開発を行い、顧客対応力を高めることを目的とする。

モラール向上策
 モラール向上を考える際には、動機づけ衛生理論を切り口に持ってくると考えがまとまりやすい。

動機づけ衛生理論
 動機づけ要因:達成すること、承認されること、仕事そのもの、責任、昇進など
 衛生要因  :会社の政策と管理方式、監督、給与、対人関係、作業条件など

 考えやすくするために、もう少し単純なモデルに変更しよう。たくさん項目があっても、試験上でとっさに出てこなければ意味はない。動機づけ要因と衛生要因に該当する具体的な制度をあらかじめ考えておくと使いやすいだろう。ここでは、以下のように考えた。
 動機づけ要因は評価にまつわる項目だ。このため、「評価基準の明確化」を問題解決策として挙げておこう。また、衛生要因は給与や作業条件にまつわる項目だ。このため、「業績連動型賃金」を問題解決策として挙げておこう。このように、問題点をあらかじめ想定して準備しておくと回答時間の短縮に役立つ。

モラール向上→動機づけ衛生理論
 動機づけ要因:評価基準の明確化(透明性・公平性・納得性)
 衛生要因  :業績連動型賃金

能力開発
 能力開発は、「OJT、Off-JT、自己啓発」の3つの視点で考えていく。OJTは職場の上司や先輩が部下や後輩に対し、具体的な仕事を通じて行う教育訓練、Off-JTは通常の業務を一時的に離れて行う教育訓練、自己啓発は自己をより高い段階へ上昇させようとする自主的な活動のことだ。
 業務上必要なスキル等の不足については、事例の状況に応じて「OJT、Off-JT、自己啓発」をうまく組み合わせて回答していく。
 ここでのキーワードは「計画的・継続的」である。長期的な視野に立って能力開発を行う必要性を訴えるのだ。

能力開発→計画的・継続的な視点で行う
 OJT
 Off-JT
 自己啓発

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