2010年1月15日金曜日

各事例の対応方法 マーケティング・流通事例

マーケティング・流通 事例

事例問題を解く際は、全事例共通して次の順番で考察していく。
 1.事例会社(社長)の経営理念を確認する。
 2.SWOT分析による外部環境分析と内部資源分析を行う。
 3.経営戦略(ドメイン)の設定を行う。
 4.事業戦略の構築および機能別戦略の構築を行う。
 マーケティング・流通事例の場合は、「4.」の段階で小売及びサービスのマーケティング戦略を考えることになる。

小売業のマーケティング戦略
 マーケティングの4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の頭文字4つを表したものだ。マーケティング戦略はこの4Pを適正に組み合わせて構築される。
 小規模小売店のマーケティング戦略は、4Pのうち製品とプロモーションが特に重要だ。大手の競合店は大量仕入れによる低価格化や立地、店舗規模における大量物流の面で強みを持っているからだ。小規模小売店では、地域に密着して築いた信頼関係や専門知識に裏付けされたこだわりの商品、顧客に対するきめ細かなアドバイスによって、大手競合との差別化を図る方向性を考える。

サービス業のマーケティング戦略
 サービスには、無形性、不可分性、変動性、消滅性、等の特性がある。

  無形性:サービスは「形」がないので、品質を評価することが難しいという特性
  不可分性:サービスは生産と消費が同時に発生するので、分けることができないという特性
  変動性:サービスは従業員の習熟度等の影響により、品質が変動するという特性
  消滅性:サービスは在庫として保存することができないという特性

 また、サービス業では、「企業」「顧客」「接客要員(CP:contact personel)」の3者を頂点としたサービスト・ライアングルによって相互間のマーケティングを考える必要がある。従来の企業と顧客間のマーケティングをエクスターナル・マーケティング、企業とCPの間をインターナル・マーケティング、CPと顧客との間をインタラクティブ・マーケティングと呼ぶ。顧客満足向上には、従来の顧客向けのマーケティングだけでなく、インターナル・マーケティングによって顧客の接点であるCPの満足度や習得度を向上させることが重要だ。

サービス・トライアングル
 エクスターナル・マーケティング(企業→顧客)
   商品戦略、サービス戦略、需給調整戦略
 インターナル・マーケティング(企業→CP)
   インセンティブ、能力開発・教育訓練、マニュアル・標準化
 インタラクティブ・マーケティング(CP⇔顧客)
   サービス・エンカウンター、顧客満足度の向上

時系列的なサービス方法の移り変わり
 Before:広告・DM、Pull戦略、商品情報
  ↓
 In:接客技術、Push戦略、ISM
  ↓
 After:苦情処理、認知不協和の解消

売上=客数×客単価
 客数=既存顧客+新規顧客
 客単価=平均買上単価×買上点数
 利益=売上-費用

マーケティング事例におけるITの活用について
 マーケティング事例で重要な情報システムは、顧客カードシステムとPOSシステムである。

顧客カードシステムの活用方法
 顧客データの分析→優良顧客・リピーターの維持拡大
 RFM分析:Recency(最新購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額)による顧客のランク付け
 FSP:Frequent Shoppers Program(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)
  顧客にポイントカードを発行し、購入量・購入頻度などに応じて段階的に付加サービスを提供することで優良顧客の維持拡大を図る。

POSシステムの活用方法
 売れ筋や死に筋商品の把握→最適な品揃えや死蔵在庫の処分など商品在庫の適正化に活用
 時間や曜日別の繁忙期・閑散期の把握→最適なレイバースケジュールの構築など従業員管理に活用

 マーケティング・流通事例を考察するにあたり岩崎 邦彦先生の著書、「スモールビジネス・マーケティング―小規模を強みに変えるマーケティング・プログラム」の熟読は避けて通れない。次回はこの本についてまとめる予定だ。

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