二次試験用のキーワードがまとまったら、次は各事例の対応方法についてまとめてみよう。
環境分析(SWOT、3C)
事例問題では、まず初めに環境分析を行い、外部環境と内部資源について分析する。
環境分析に使うフレームワークは3C分析かSWOT分析だ。
3C分析は、自社、顧客、競合に分けて分析を行う方法(マーケティング事例でよく用いられる)
SWOT分析は、外部環境を機会と脅威に分け、内部資源を強みと弱みに分けて分析を行う方法
環境分析は、事例本文を読みながら、機会と脅威、強みと弱みをマーカーで色分けしながら行うはずだ。よく鉛筆一本でマーキングしている人を見かけるが、時間制限がある中で目立たない鉛筆では見落としが多くなる。終了直前5分前に一気に回答を書き上げる場合も多々あるので、自分が大事に思うところはグリグリにマーキングし、見落としが無いようにしておきたいものである。
また、字数制限があるのも中小企業診断士試験の特徴である。事例本文の一行分の文字数は何文字あるか知っているだろうか?…答えは38文字である。つまり事例本文から文章を引用する場合、一行の4分の1程度が10文字分となるのだ。マーカーで一面に色を付けている人を見受けるが、回答に使用できる文章はほんの一握りである。コアになる文章はどこにあるのか、見つけやすくする工夫も必要だ。
経営戦略
SWOT分析後に経営戦略を考える場合、以下の方向性が考えられる。
一つ目は、外部環境の機会に自社の強みを活用する戦略
二つ目は、外部環境の機会に自社の弱みを克服することで対応していく戦略
※脅威は基本的に回避の方向となる。
一つ目の戦略は二次試験のうち、マーケティング事例によく取られる方向性であり、二つ目の戦略は、生産事例でよく取られる方向性だ。
マーケティング事例では、顧客ニーズに対応するために事例企業の専門知識や顧客対応力などを活用して競合と差別化していく戦略が取られることが多い。
これに対し生産事例では、顧客から短納期化の要請が発生しており、生産計画(工数計画、負荷計画、日程計画)や生産管理(進度管理、余力管理、現品管理)上の問題を克服することで対応していく傾向にある。
経営戦略(ドメイン)を記述する場合には、1つの作法がある。
「誰に」「何を」「どのように」
この3つを明確に記述することだ。
「誰に」とはニーズの主体である。できるだけ具体的に記述することが重要だ。例えば、「高齢者に」と記述するのではなく「宅配サービスを必要としている高齢者に」とターゲットを絞って記述する。これが良い回答にするためのテクニックだ。
「何を」とは自社の製品やサービスだ。競合に対して差別化できる製品やサービスを記述することになる。また、近年の顧客ニーズの多様性から心理変数の要素、つまりライフスタイルや価値観を提供する視点が必要になっている。例えば自社の商品を記述する際に、「おいしいデザートを」と記述するのではなく「フルーツの甘さを活かして糖分を抑えた健康志向のデザートを」という具合だ。
「どのように」とは自社の強みを活用するということだ。例えば事例企業に専門知識を豊富に持った人材がいるとしよう。この人材はこの事例企業にとって強みとなりえる人材だ。こうした場合、「専門知識を持った人材を活用して提案営業を実施する。」といった記述により、強みを活用していることを印象付けるようにした方がいい。
いずれの場合においても与件の文章を明確に使用することが、事例に沿った提案だというアピールに繋がることを忘れないで欲しい。
最後に回答を記述する際に必要な文章例を以下に示す。
覚えておきたい言い回し13選
・顧客満足の向上
・顧客対応力の強化
・顧客との関係性強化
・顧客ニーズへの迅速な対応
・顧客の利便性向上
・固定客化
・顧客の生涯価値、顧客シェアの向上
・競合との差別化
・競争優位性の発揮
・外部環境への適合
・経営基盤の強化
・経営革新の実施
・内部資源の有効活用
究極の切り口(内部・外部)
・内部:
強みを強化する→目に見えない経営資源の強化
弱みを克服する→管理体制の強化、経営資源の有効活用
・外部:
市場面への対応→顧客ニーズへの対応、顧客関係性の強化
競合面への対応→差別化による競争優位性の獲得
このような、決まり文句を増やしていくことが、合格答案を書くのに必要となる。
2010年1月13日水曜日
各事例の対応方法 環境分析と経営戦略
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