2010年1月31日日曜日

事例問題にしがみつく方法(平成21年度 組織・人事 第5問)

さて、いよいよ第5問目について解答する。組織・人事事例最後の問題だ。

平成21年度 組織・人事事例

第5問(配点20点)
 現在、A社は、地元市場の不振と、景気低迷に伴う大都市圏事業の縮小といった厳しい経営状況に直面している。急速な業績回復が期待できない中で、短期的に売り上げを増進させるための具体的施策について、中小企業診断士として助言を求められた。どのような助言を行えばよいか、150字以内で述べよ。

まず題意から考えよう!
題意:短期的に売り上げを増進させるための具体的施策について、どのような助言を行えばよいか
 解答の骨子
  例1:助言は、〜である。具体的施策は、
     ①~、
     ②~することで短期的に売り上げを増進させることである。
  例2:短期的に売り上げを増進させるため、
     ①~、
     ②~、という施策を助言する。
  ※①と②の部分で具体的な事柄を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
   →「~により、~である」「~のため、~である」という表現を使う。

次に制約条件を考える!
制約条件
 ・地元市場の不振→地元はダメ、新しい市場を考える必要がある
 ・大都市圏事業の縮小→大都市圏での成長は期待できない、立地条件を武器にできない
 ・急速な業績回復が期待できない中で、短期の売り上げを増進させる
   →即効性のある施策が必要、外部環境悪化により内部資源の強化が必要
 ・中小企業診断士として→一次知識、白書の知識、客観性と論理性、多面的な視点
 A社の強みである「インターネットを活用した通信販売」の強化を行う方向性か?
  理由①:立地条件に関係なく、全国の市場に商品を販売できるため。
  理由②:現在、すでに通信販売を行っており短期に販売体制が強化できるため。

与件を活用する!
 「社内コンテストの開催社外の菓子職人やコンサルタントへの依頼などによって新しい創作菓子の開発に積極的に取り組んだ」
  →社内の能力開発、社外リソースの活用による能力開発は可能:能力開発の視点
 「大都市圏市場の拡大を目指すA社社長は、高級スーパーへの納品にも挑戦した」
  →高級化による売り上げの確保
 「販売体制の整備などで新たな対応が求められた」
  →販売体制の整備が必要
 「死に筋商品の排除売れ筋商品への絞り込み」→この表現は覚えておく!
  →基本的な商品の絞り込みは対策済み、これ以外で売上高向上策を探す
 「大都市圏のデパート・スーパーに当初から投入していた商品の売り上げに支えられ、かろうじて営業を続けている」
  →新たな売り上げをつくる商品の投入が必要

短期的に売り上げを増進させる:

 組織・人事の視点→販売員の能力開発
 マーケティングの視点→売上=客数×客単価、顧客生涯価値・リピーター率の向上

以上をまとめると…
 →①社外のコンサルタントによる社内研修や社内コンテストを活用した能力開発により販売員のスキルを向上させて販売体制を整備する。
 →②高級スーパー向けの商品と新奇な商品を定期的に打ち出すことにより客単価とリピーター率を向上させてインターネットの通信販売を強化する。

問題の階層を考える!
 短期的に売り上げを増進させる→商品を販売するのは人→人事戦略レベル
 人事戦略は、モラール向上と能力開発の視点で考える。
 モラール向上策は第3問で解答済み→今回は能力開発の視点で。

 能力開発→計画的・継続的な視点で行う。
  OJT(仕事を通じての技能継承)
  Off-JT(社外研修)
  自己啓発(奨励金、社内表彰制度と絡める)



以上から導き出した解答:
 題意:例2を使用
 組織・人事(能力開発)とマーケティングの視点
 能力開発の切り口はOJT、Off-JT、自己啓発

短期的に売り上げを増進させるため、①社外のコンサルタントによる社内研修や社内コンテストを活用した能力開発により販売員のスキルを向上させて販売体制を整備し、②高級スーパー向けの商品と新奇な商品を定期的に打ち出すことにより客単価とリピーター率を向上させてインターネットの通信販売を強化することを助言する。150字



 やっと、組織・人事事例が終わった。与件全文を見て欲しい。色のついた部分が解答で参考にした部分だ。全体に渡ってほぼ均等に色が付いていると思う。与件の文章に無駄な部分はないのである。もし、解答する上で参考にしていない部分がある場合は、解答の方向性が間違っている可能性があるので注意すべきだ。
 解答する上で最も重要な事は、設問の題意にしたがって素直に解くことである。なるべく、設問や与件に書かれている言葉通りに引用して解答をつくり、「A社社長」に対して診断結果を報告するのだ。

2010年1月29日金曜日

事例問題にしがみつく方法(平成21年度 組織・人事 第4問)

 それでは、第4問目を解いてみよう。高度な専門用語は必要としない。頼れるものは「2次のキーワード」と「事例の対応方法」だけだ。

平成21年度 組織・人事事例

第4問(配点20点)
 A社社長は、生産体制を見直す際に、F社出身のベテランの洋菓子職人をA社工場の責任者に任命した。こうした施策を講じることによって、どのような成果や効果を期待したと考えられるか。100字以内で述べよ。

まず題意から考えよう!
題意:A社社長は、どのような成果や効果を期待したと考えられるか
 解答の骨子
  例1:A社社長は、①成果として~、②効果として~、を期待したと考えられる。
  例2:A社社長は、①~、②~、という成果や効果を期待したと考えられる。
  ※①と②の部分で具体的な事柄を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
   →「~により、~である」「~のため、~である」という表現を使う。
    (ただし、今回は、因果関係の表現は使わなかった。)

次に制約条件を考える!
制約条件:F社出身のベテランの洋菓子職人をA社工場の責任者に任命による成果や効果
 成果や効果を期待している→A社社長は、「あるべき姿」とのギャップを感じている
  →ギャップを形成しているA社の問題点を探せ!
 「効果」というだけでも良いところ、「成果や効果」とあえて2つ挙げている
  →少し気になる…。
 切り口を「成果」と「効果」にすべきか?
  広辞苑より
   成果:なしえたよい結果。
   効果:ある行為によって得られた、期待通りのよい結果。
  ある成果によって何らかの効果が発生する感じ?良く分からない…。
 切り口にはせず、「成果や効果」と一緒にしてごまかす。
  →「~という成果や効果を期待したと考えられる。」という表現でいいや。

与件を活用する!
A社の問題点
:A社社長は、この問題点を克服して「あるべき姿」になることを期待した。
 「確かに、こうした大都市圏での事業展開は成長をもたらしたが、同時に生産体制や販売体制の整備などで新たな対応が求められた
 「地方都市と比べて競争が激しく市場ニーズの変化が速い大都市圏では新奇さを打ち出すことが必要で」
 「定期的に目先を変える新作菓子を生み出す体制の整備が課題となってきた
 「A社に、卓越した商品開発のノウハウが備わっていたわけではなかった
 「そこで生産を統括していた洋菓子職人の1人と数人の職人がA社の工場に配置転換され、その他の職人はF社のもう1つの工場に残った」
 →新奇さや目先を変えた新作菓子を生み出す体制の整備ができていない
 →卓越した商品開発のノウハウが備わっていない

問題の階層を考える!
 あからさまな組織戦略の問題が見当たらない→この問題が組織戦略か?
 体制の整備が課題→組織戦略レベルとしても良いのでは…?
 組織戦略は、組織構造組織文化の視点で考える。
  組織構造:新作菓子が生産できる組織体制
  組織文化:商品開発のノウハウが継承できる組織文化



以上から導き出した解答:
 題意:例2を使用
 与件文から問題点を抽出→克服へ
 組織戦略の切り口そのまま

A社社長は、①ベテランの洋菓子職人によって卓越した商品開発のノウハウが継承できる組織文化の醸成と、②新奇さや目先を変えた新作菓子が生産できる組織体制の整備、という成果や効果を期待したと考えられる。98字

2010年1月28日木曜日

事例問題にしがみつく方法(平成21年度 組織・人事 第3問)

 それでは、第3問目を解いてみよう。

平成21年度 組織・人事事例

第3問(配点20点)
 A社がF社を傘下に収めた結果、買収されたF社の従業員に比べて、買収したA社の従業員のモラールが著しく低下してしまった。両社の人事構成を踏まえた上でその理由について、100字以内で述べよ

まず題意から考えよう!
題意
:その理由について、100字以内で述べよ
 解答の骨子
  例1:理由は、~のためである。具体的には、
     ①~のため、
     ②~のため、である。
  例2:両社の人事構成は~である。モラール低下の理由は、~のためである。

  ※例1の①と②の部分で具体的な理由を述べるときは、因果関係を明確に書くようにする。
   →「~により、~であるため」「~することで、~になるため」という表現を使う。

次に制約条件を考える!
制約条件:両社の人事構成を踏まえた上で
 A社の人事構成とF社の人事構成を比較する。

与件を活用する!
A社の人事構成(買収前):
 「従業員はパート・アルバイト社員を含めて130名程度である」
 「販売員を含め120名程度の従業員のうち80%近くが、パート・アルバイト社員であった」
  →「パート・アルバイト社員」は字数が多いため「非正規社員」と表現する。
  →A社は80%近くが非正規社員である。
F社の人事構成(買収前):
 「従業員数50名(うちパート・.アルバイト社員約20名含む)
 「売り上げが3年間で30%近く落ち込んでしまったF社は、パート・アルバイト社員を中心に人員整理を断行した
  →F社は買収前の人員整理により正規社員が多い。
買収後のA社の人事構成:
 「そこ(閉鎖されたF社の工場)で生産を統括していた洋菓子職人の1人と数人の職人がA社の工場に配置転換され、その他の職人はF社のもう1つの工場に残った。最終的に、A社とF社の従業員40名程度の人員整理を実施した
  →買収後の人員整理はA社の非正規社員を中心に行われたと考えられる。

問題の階層を考える!
 A社の従業員のモラールについて→人事戦略レベル
  各事例の対応方法 組織・人事事例
 人事戦略は、モラール向上と能力開発の視点で考える。
 モラール向上策は動機づけ衛生理論の視点で考える。
 動機づけ衛生理論
  動機づけ要因:達成すること、承認されること、仕事そのもの、責任、昇進など
  衛生要因  :会社の政策と管理方式、監督、給与、対人関係、作業条件など
 A社の従業員のモラールが著しく低下していることから、A社の衛生要因が悪化している方向性を記述する。
  →作業条件の悪化により、A社の従業員のモラールが著しく低下した。



以上から導き出した解答:
 題意:例2を使用
 与件文をまとめる
 人事戦略の考え方から決め台詞を探す


A社は80%近くが非正規社員であり、F社は買収前の人員整理により正規社員が多い。モラール低下の理由は、買収後の人員整理がA社の非正規社員を中心に行われ、A社の従業員が作業条件の悪化を強く感じた為である。100字

2010年1月26日火曜日

事例問題にしがみつく方法(平成21年度 組織・人事 第2問)

 前回に続き、第2問目を解いてみよう。高度な専門用語は必要としない。頼れるものは「2次のキーワード」と「事例の対応方法」だけだ。

※PDFのOCR機能により与件文を引っ張ってきていますので、誤字があるかもしれません。申し訳ありません。

平成21年度 組織・人事事例

第2問(配点20点)
 金融機関の後押しがあったにもかかわらず、当初、A社社長は、F社を傘下に収めることに対して、積極的、前向きではなかった。その理由として、どのようなことが考えられるかF社が直面していた財務上の問題以外で考えられる点について、100字以内で述べよ。

まず題意から考えよう!
題意
:その理由として、どのようなことが考えられるか?
 解答の骨子
  例1:理由は、①~であるため、②~であるため、と考えられる。
  例2:F社を傘下に収めることに対して、積極的、前向きではない理由は、
     ①~であるため、
     ②~であるため、と考えられる。
  ※理由を述べるときは、納得性を高めるため2つ以上の理由を挙げる。
  ※例1は①と②の部分で因果関係を明確に書くようにする。
   →「~により、~であるため」「~することで、~になるため」という表現を使う。
  ※例2は書くことがうまく思い浮かばなくて、マス目を埋めるのに困った時に使う。
   →例1に比べてマス目を27文字分多く使用している。

次に制約条件を考える!
制約条件
:F社が直面していた財務上の問題以外で考えられる点について
 「売り上げが3年間で30%近く落ち込んでしまった」という与件は使えない。

与件を活用する! ※「しかし」と書かれた部分は要チェック!
A社社長が、F社を傘下に収めることに対して、積極的、前向きではなかった理由:
 ①「和菓子をメインに評判を得てきた老舗菓子メーカーである」
  「2つのブランドを継続させた
  →洋菓子メーカーを買収することで、和菓子老舗ブランドの希薄化を恐れたため
 ②「しかし、2000年以降、W市郊外にも次々と大規模なショッピングセンターがオープンし有名洋菓子店が出店したために、周辺の競争は一挙に激化した。」
  →有名洋菓子店が出店したことで、競争が激化したため
 ③「早期に経営体質の強化を図るために、両社で重複している売場の整理統合、死に筋商品の排除と売れ筋商品への絞り込みによって経費削減を進めた」
  「F社の工場1つも閉鎖され
  →売場や工場等の内部資源が重複することで、経費が増大するため

問題の階層を考える!
 経営理念・経営戦略などの上位レベル
 「A社社長の思い」は要チェック項目!



以上から導き出した解答:
 題意:例1を使用
 該当する与件文をただまとめるだけ

理由は、①洋菓子メーカーを買収することで、和菓子老舗ブランドの希薄化を恐れたため、②有名洋菓子店が出店したことで、競争が激化したため、③売場や工場等の内部資源が重複することで、経費が増大するためである。101字

2010年1月25日月曜日

事例問題にしがみつく方法(平成21年度 組織・人事 第1問)

 実際の事例問題について考えていこう。今回から述べる勉強法のコンセプトは、「事例問題にしがみついて解答を絞り出すにはどうするか?」ということだ。問題を解いていると「何を答えて良いかわからない!」という状況に必ず出くわす。このような場合でも、前回までに述べた「2次のキーワード」と「事例の対応方法」によって答えをひねり出そうという企画だ。限られた知識、時間との戦いの中で、解答用紙のマス目を全て埋めるにはどうしたらよいかを考える初心者向け企画だ。

※前回までは、ヒアリングに対する診断報告書上の答えという意味で「回答」という文字を使っていたが、今回からは、問題を解く上での答えという意味で「解答」という文字を使用する。

平成21年度 組織・人事事例

第1問(配点20点)
 F社を買収する以前のA社、およびA社に買収される以前のF社は、それぞれW市周辺で有力な菓子メーカーであった。和菓子、洋菓子といった取扱商品に違いがあるもののA社とF社の強みには、どのような違いがあると考えられるか。150字以内で述べよ。

まず題意から考えよう!
題意:A社とF社の強みには、どのような違いがあると考えられるか?
 解答の骨子
  例1:A社とF社の強みには、~のような違いがある。具体的には、
     ①A社の強みは~であり、
     ②F社の強みは~であるといった違いがある。
  例2:強みにおけるA社とF社の違いは、
     ①A社は、~という強みを持ち、
     ②F社は、~という強みを持つことである。

次に制約条件を考える!
制約条件:和菓子、洋菓子といった取扱商品に違いがあるものの
 取扱商品に対する違いは使用できない。

与件を活用する!
A社の強み:
 「もともと、地元で採れた農産物を主原料とした地産地消の安全安心な菓子づくりをモットーに、和菓子をメインに評判を得てきた老舗菓子メーカーである」
 「地元農家と専属契約を結び原材料の確保を図ると同時に」
 「この成功の要因のひとつは、原材料重視というコンセプトが消費市場の食の安全に対する意識や自然志向の高まりにマッチしたことである。また、同じ時期に開始したインターネットを活用した通信販売も思いのほか反響が大きく、A社の業績を高めた
 「これまでW 市地区特産原材料へのこだわり武器に事業展開してきた」
F社の強み:
 「創業当初からF社に勤めていた菓子職人の技術がその評判を支え」

問題の階層を考える!
 強みについての設問→環境分析レベル
 対応方法
  各事例の対応方法 環境分析と経営戦略
 究極の切り口(内部・外部)
  内部:
   強みを強化する→目に見えない経営資源の強化
   弱みを克服する→管理体制の強化、経営資源の有効活用
  外部:
   市場面への対応→顧客ニーズへの対応、顧客関係性の強化
   競合面への対応→差別化による競争優位性の獲得



以上から導き出した解答
 題意:例2を使用
 与件文をまとめる:強みは、「~力」という表現を使うとまとめやすい
 切り口:外部と内部

強みにおけるA社とF社の違いは、①A社は、食の安全、自然志向という消費市場のニーズにマッチしたW市地区産のこだわりの原材料調達力とインターネットを活用した通信販売力という外部環境に対する強みを持ち、②F社は、創業当初からの評判を支える菓子職人の技術力という内部資源に対する強みを持つことである。147字

 ・・・うーん、なんとも微妙な感じだが、設問や与件の文章をできるだけ活用して解答を作ってみた。

2010年1月23日土曜日

Kindle DX が到着した!

 Kindleに関する主なリンク先をご紹介!基本的には英語の本しか扱えないKindleだが、jailbreakすることで日本語が扱えるようになる。
 さらに、PDFファイルなら自由に日本語を扱える。jpegで保存されているマンガをPDFに変換すれば、スタバがマンガ喫茶に早変わりだ。分厚い本や 参考書もPDFに変換してKindleで持ち歩けば、重たい鞄ともおさらばだ。いつでもどこでも、読書や勉強ができる環境が手に入るのだ。
 続きは、Kindle紹介ページで!

2010年1月21日木曜日

電卓の操作方法

 中小企業診断士2次試験では、電卓の使用が許されている。電卓は財務事例では必須のツールであり、この扱い方をマスターすることによって、計算時間が短縮できる。今回は、電卓の便利な機能について紹介しようと思う。
 今回紹介する機能は、CASIO社製の電卓を使ったものだ。SHARP社製の電卓はキーの押し方が若干異なっているようなので、インターネットなどで調べてほしい。

クリアキー
 AC:オールクリアキー。すべての入力を消去する。
 :クリアキー。最後に入力した数値だけを消去する。

桁下げキー
 :数字の入力ミスを一桁ずつ訂正する。(▲マークの付いたキー)

例題
 100,000「」10,000
 10,000「」1,000
※誤って「0」を多く入力してしまった時などに使用する。

メモリキー
 M+:表示されている数値をメモリへ加える時に使用する。
 M-:表示されている数値をメモリから減じる時に使用する。
 MR:メモリ内に記憶されている数値の合計を表示する時に使用する。
 MC:メモリ内に記憶されている数値を消去したい時に使用する。

例題
 (1)(150+165)-(235-160)=
  150「」165「M+」…左側のカッコ
  235「」160「M-」…右側のカッコ
  「MR」240

 (2)(500+100)/{1-(500÷1250)}=
  1「M+」500「÷」1250「M-」…分母の計算をメモリに記憶する。
  500「」100「÷」…分子を計算する。
  「MR」「」1000…メモリ(分母の計算結果)を呼び出す。
 ※分母を先にメモリに記憶させる

グランドトータルキー
 GT:複数の計算結果を合計する。
  →投資の経済性計算で正味現在価値(NPV)を求める時などに使用する。

例題
 設備取得価額5,000、残存価額0、割引率5%
 この投資によってもたらされるキャッシュフローが
 1年目1,500、2年目2,000、3年目2,500の場合のNPV
  1,500「÷」1.05「」…1年目の計算
  2,000「÷」1.05「÷」1.05「」…2年目の計算
  2,500「÷」1.05「÷」1.05「÷」1.05「」…3年目の計算
  「GT」「」5,000「」402…1~3年目を合計し正味現在価値を計算する。
 ※小計の際に「=」を押すことが必要

さまざまな数字を一定の数字で割る計算
  →利益率計算などで使用する。

例題
 売上高200、売上総利益40、営業利益10、経常利益5の場合
  売上高200「÷」「÷」…売上高を分母に設定
  40「」…売上総利益率0.2→20%
  10「」…営業利益率0.05→5%
   5「」…経常利益率0.025→2.5%

累乗計算
 ある数字の2乗、3乗、4乗…を求める計算
 「×」「×」「」で2乗、さらに「」で3乗、さらに「」で4乗…
  →年金現価係数を計算する時などに使用する。

例題
 資本コスト率が年間7%、年数が5年のときの年金現価係数
  1「÷」1.07「」…1年目
  「×」「×」「」…2年目
  「」…3年目
  「」…4年目
  「」…5年目
  「GT」…5年目の年金現価係数

 さらに理解を深めたい人は、「税理士・公認会計士受験生のための新版電卓操作の本」堀川 洋 (著)など多数の本が出ているので参考にしてほしい

 これから何年もともにする電卓なので、少し値が張っても良いものを購入しておきたい。購入する時の基準は12桁表示、ルートキー、GTキーが備わっていることである。

デザインの良いお勧め電卓
 黒 CASIO LATORA デザイン電卓 12桁 RT-7000BK-N
 白 CASIO LATORA デザイン電卓 12桁 RT-7000WE-N

2010年1月20日水曜日

各事例の対応方法 財務事例

財務 事例

事例問題を解く際は、全事例共通して次の順番で考察していく。
 1.事例会社(社長)の経営理念を確認する。
 2.SWOT分析による外部環境分析と内部資源分析を行う。
 3.経営戦略(ドメイン)の設定を行う。
 4.事業戦略の構築および機能別戦略の構築を行う。
財務事例の場合は、「4.」の段階で財務戦略を考えることになる。

財務戦略
 財務事例の場合もSWOT分析を行う。分析した結果をもとに第1問目の経営分析で事例企業の財務的な問題点を指摘し、続く第2問目以降でこの問題点を解決していく形だ。
 財務戦略の基本は経営分析だ。経営分析は、損益計算書や貸借対象表の数字、つまり売上高や在庫量などの定量的な分析だけではなく、与件で与えられた外部環境の変化や事例企業の状況といった定性的な分析も加えて行わなければならない。つまり、利益率の数字が悪化したことを単に回答するのではなく、数字が悪化した原因まで考えて回答を行わなければならないということだ。
 経営分析で指摘した問題点は、後に続く設問で解決していく。まず、損益分岐点分析やキャッシュフロー分析を通して問題の原因究明がなされる。次に、投資の経済性計算や商品ミックスの最適化を考察することにより、商品開発力や限界利益率の向上を図ることで収益性を改善していく。

経営分析 主な指標
 売上高対総利益率
   →商品の低価格化、多様化、値引き圧力などの与件情報があるとき
 売上高対営業利益率
   →利益を圧迫している販管費、人件費などの与件情報があるとき
 売上高対経常利益率
   →借入金による金利負担が大きいなどの与件情報があるとき
 商品(棚卸資産)回転率
   →商品の多品種化による在庫増加などの与件情報があるとき
 有形固定資産回転率
   →有形固定資産の有効活用ができていないなどの与件情報があるとき
 売上債権回転率
   →与信管理がうまくいっていないなどの与件情報があるとき
 流動比率
   →全体的に流動資産が少なく、短期支払い能力の低さを指摘するとき
 当座比率
   →特に現金・預金が減少しており資金繰りが厳しいとき
 自己資本比率
   →借り上げ金が多いとき
 売上高対売上原価率
   →売上原価が特に大きく、費用負担を強調したいとき
 販売費・管理費比率
   →販管費が特に大きく、費用負担を強調したいとき
 売上高対人件費比率
   →人件費が特に大きく、費用負担を強調したいとき

経営分析 問題点の書き方
 利益率
  ~(与件の問題点)のため、収益性が低い点である。
  ~(与件の問題点)のため、収益を圧迫している点である。
 回転率
  ~(与件の問題点)のため、資産効率が悪い点である。
 安全性
  流動比率、当座比率:~(与件の問題点)のため、短期支払い能力が低い点である。
  自己資本比率:~(与件の問題点)のため、資本の安定性が低下している点である。

損益分岐点分析とキャッシュフロー分析への対応は必須
 損益分岐点分析の言い回し例
 >D社が経営政策をこのまま続けると、変動費率は一定のため、売上高の減少に伴い、
  固定費を賄いきれず営業赤字に陥る状況になる。
 >平成17年度の損益分岐点の特徴は、平成16年度に比べて労務費や減価償却費等の
  固定費が増加するものの、販売単価の上昇や運搬費の削減効果などで限界利益率
  向上する結果、損益分岐点比率が改善されることである。

 キャッシュフロー分析の言い回し例
 >D社は、営業赤字や在庫増加による営業活動キャッシュフローの減少を
  投資財務活動で賄えずキャッシュが流出している状況である。
 >D社のキャッシュフローは減少している。理由は、売上債権や営業外費用の増加が影響して
  営業活動によるキャッシュアウトおよび投資活動によるキャッシュアウトを財務活動による
  キャッシュインで補えなかったためである。

2010年1月19日火曜日

各事例の対応方法 生産・技術事例

生産・技術 事例

事例問題を解く際は、全事例共通して次の順番で考察していく。
 1.事例会社(社長)の経営理念を確認する。
 2.SWOT分析による外部環境分析と内部資源分析を行う。
 3.経営戦略(ドメイン)の設定を行う。
 4.事業戦略の構築および機能別戦略の構築を行う。
 生産・技術事例の場合は、「4.」の段階で生産・技術戦略を考えることになる。

生産・技術戦略
 生産・技術戦略は、生産性や収益性の向上が目的だ。この目的を達成するためにQCD(Quality品質・Costコスト・Delivery納期)の視点から問題点を考察し、その改善策を提案していく。
 例えば、既存製品の低価格化や取引先への短納期対応という問題点に対し、管理体制の強化や従業員の能力開発といった改善策を提案するのだ。管理体制においては「品質管理(Q)、原価管理(C)、工程管理(D)」といった各管理手法から改善策を考察し、従業員の能力開発においては「OJT、Off-JT、自己啓発」や「多能工化」などの視点から改善策を考察する。また、PDCAサイクルによる「計画(plan)、実行(do)、評価(check)、改善(act)」という視点も使いやすい改善提案の一つだ。
 事例企業の究極的な課題は、「製品の高付加価値化」と「生産リードタイムの短縮(短納期対応)」を実現することだ。この課題を実現することにより、生産性や収益性の向上が図られることになる。

生産・技術事例の特徴
 生産・技術事例は、一段落毎に設問で聞かれる論点がまとまっている。マーケティング事例のように顧客ニーズや問題点などの論点が点在していないので、回答するために使用する文章を特定しやすい。
 また、生産性と収益性の向上という両面を考えるため、生産的な問題ばかりではなく営業的な問題も改善しなければならない。与件文のなかで生産部門と営業部門の連携が悪いことを指摘している場合は、必ずその連携を改善するように求められる。
 さらに、IT活用の設問が必ず用意されているのも特徴の一つだ。LANやインターネット活用による情報交換、データベースによる一元管理化など、ITを活用することにより顧客対応を強化する手法は抑えておく必要がある。

生産・技術戦略
品質管理、原価管理、工程管理の強化
  ↓↑
マーケティング戦略
顧客対応力の強化:ITの活用

生産管理
 需要の3要素 :QCD→Quality品質・Costコスト・Delivery納期
 生産の3要素 :3M→Man人・Material材料・Machine機械
 生産の基本機能:設計・調達・作業
 第1次管理(合理化の手段):
  品質管理・原価管理・工程管理
 第2次管理(1次管理の補完):
  基本機能に関する管理→設計・資材・作業管理
  3Mに関連する管理→人事管理・設備管理・外注管理・作業管理等

生産形態
 注文と生産の時間的関係:
  受注生産 (特注品)
  見込生産 (標準品)
 生産数量と品種:
  多品種少量生産
  中量生産
  少品種多量生産
 仕事の流し方:
  個別生産
  ロット生産
  連続生産

工程管理 改善の方向性
 生産計画:期間別計画(大・中・小日程)、要素別計画(手順・工数・負荷)
  生産能力を適切に把握して付加を平準化した生産計画に改善することにより、原価低減と短納期化を図る。
  生産計画の短サイクル化を図ることにより、小ロット・短納期注文に対応する。
 生産統制:進捗管理・余力管理・現品管理
  工程の進度管理を営業先で把握することにより、顧客に対して正確な納期を即答する。
  工程の余力情報を営業先で把握することにより、顧客に対して新規受注品の納期を即答する。
  工場の進度情報、余力情報をデータベースで全社的に一元管理することにより顧客対応力を強化する。
 ラインバランシング
  生産ライン上に割付けられた各工程の作業時間のバラツキを減らし、作業負荷を平準化する。
 多能工化
 段取り時間の短縮 (内段取りの外段取り化)
 進度管理 (差立、ガントチャート、製造三角図、流動数曲線)
 発注・納期管理 (カムアップシステム)
 ABC分析

3S (標準化、専門化、単純化)
 Standardization:標準化→使用例:部品点数の削減提案
 Specialization:専門化
 Simplification:単純化

5S
 整理、整頓、清掃、清潔、躾

2010年1月18日月曜日

マーケティング・流通事例 参考書のまとめ

 岩崎 邦彦先生の著書、「スモールビジネス・マーケティング」をまとめてみた。この本は必ず購入して熟読してほしい。

スモールビジネス・マーケティング

①「中小規模店選好セグメント」の特性
 本格志向
  店のこだわり、店の個性、店の専門性
 人的コミュニケーション志向
  店員とのコミュニケーション
  店員のアドバイス、提案
 関係性志向
  ここと決めた店あり、気に入った店は長く利用

②小規模メリット活用型マーケティングの体系
小規模メリット活用型マーケティングの実現
本格化マーケティング
関係性重視型マーケティング
   ↓融合
人的コミュニケーション重視型マーケティング

③コア基盤=「幹」をつくる
 経営資源=「根」
 a. 「目に見える資源」…設備、人手、資金など
 b. 「目に見えない資源」…専門知識・独自の経験、ノウハウ・技術、顧客の信用・ブランド
 c. 「小規模特性」…真空地帯の対応力、変化対応力、地域密着力、対面販売力、個性化力
 b.とc.を融合⇒持続的競争優位

④小規模メリット活用型マーケティングの実践に向けて
 トライアルを積極的に推進する経営者意識
  現状維持は「後退」を意味する
 トライアルと成果のフィードバック回路を”ON”にする

⑤本格化マーケティング
 ・競争優位性のコア基盤の確立
  「幹」をつくる
  「目に見えない資源」と「小規模特性」の融合
 ・品揃え形成
  独自性の高いコア商品の形成
  アソートメント(商品の組合せ)の拡充
 ・想定ターゲットの絞込み
 ・「いかに安く売らずに済むか」を考える
  ハイクオリティ、ライトプライスによる価値の向上
  品質、こだわりの視覚化
 ・小売段階でも独自の価値を付加する
  形態変化による価値創造(財の加工)
  商品のコーディネートによる価値創造
  目に見えない価値の付加(サービス、情報、学び、体験)

⑥人的コミュニケーション重視型マーケティング
 ・人的コミュニケーション
  フレンドリーサービス:競争の前提
  人を通じた情報の伝達:差別化のキー
 ・双方向のコミュニケーション
  情報の発信:情報提供、提案(店の独自性、強み、専門性、個性、こだわり)
  情報の受信:意見、要望、苦情
 ・ヒトのマネジメント
  周到な採用
  販売員の意識改革
  販売員満足度の向上
  販売員の専門性強化、能力開発への投資
  販売員への権限委譲
  コミュニケーション活動に対する評価
 ・くちコミの発生
  「記憶しやすく、伝えやすい」×「伝えたくなる」
  悪いくちコミの抑制
   >顧客満足保証の姿勢や交換、返金、修理などにたいする方針を顧客に周知
   >顧客が不満や苦情をできるだけ言いやすくする
     →苦情へ適切に対処する

⑦関係性重視型マーケティング
 ・顧客維持活動
  ロイヤルティカード・プログラム
   顧客情報の利用方法
   >優良顧客の発掘
   >優良顧客のプロファイルの把握
   >特定顧客に対象を絞ったプロモーションの実施
   >クロス購買分析によるプロモーションの効率化、提案販売
   >バスケット分析(併買分析)による品揃えの見直し、売場や棚のレイアウトの見直し
   >ダイレクトメール(DM)のレスポンス率の向上
   >商圏分析、地域シェア分析による販促エリアの検討
 ・販売員との人的コミュニケーション
 ・顧客との継続的接触
  接触機会
   >顧客の個人的イベント(誕生日、記念日など)
   >商品のサイクル(購買後まもなく、保証期間終了前など)
   >顧客の購買サイクル(買い替え時期など)
   >変化(季節の変わり目、新アイテムの導入時など)
   >顧客の変化(住所変更、特定商品の購入など)
 ・売場(売場づくり・品揃え)の変化

顧客維持活動→顧客満足度向上→ストアロイヤルティ

2010年1月15日金曜日

各事例の対応方法 マーケティング・流通事例

マーケティング・流通 事例

事例問題を解く際は、全事例共通して次の順番で考察していく。
 1.事例会社(社長)の経営理念を確認する。
 2.SWOT分析による外部環境分析と内部資源分析を行う。
 3.経営戦略(ドメイン)の設定を行う。
 4.事業戦略の構築および機能別戦略の構築を行う。
 マーケティング・流通事例の場合は、「4.」の段階で小売及びサービスのマーケティング戦略を考えることになる。

小売業のマーケティング戦略
 マーケティングの4Pとは、製品(Product)、価格(Price)、流通(Place)、プロモーション(Promotion)の頭文字4つを表したものだ。マーケティング戦略はこの4Pを適正に組み合わせて構築される。
 小規模小売店のマーケティング戦略は、4Pのうち製品とプロモーションが特に重要だ。大手の競合店は大量仕入れによる低価格化や立地、店舗規模における大量物流の面で強みを持っているからだ。小規模小売店では、地域に密着して築いた信頼関係や専門知識に裏付けされたこだわりの商品、顧客に対するきめ細かなアドバイスによって、大手競合との差別化を図る方向性を考える。

サービス業のマーケティング戦略
 サービスには、無形性、不可分性、変動性、消滅性、等の特性がある。

  無形性:サービスは「形」がないので、品質を評価することが難しいという特性
  不可分性:サービスは生産と消費が同時に発生するので、分けることができないという特性
  変動性:サービスは従業員の習熟度等の影響により、品質が変動するという特性
  消滅性:サービスは在庫として保存することができないという特性

 また、サービス業では、「企業」「顧客」「接客要員(CP:contact personel)」の3者を頂点としたサービスト・ライアングルによって相互間のマーケティングを考える必要がある。従来の企業と顧客間のマーケティングをエクスターナル・マーケティング、企業とCPの間をインターナル・マーケティング、CPと顧客との間をインタラクティブ・マーケティングと呼ぶ。顧客満足向上には、従来の顧客向けのマーケティングだけでなく、インターナル・マーケティングによって顧客の接点であるCPの満足度や習得度を向上させることが重要だ。

サービス・トライアングル
 エクスターナル・マーケティング(企業→顧客)
   商品戦略、サービス戦略、需給調整戦略
 インターナル・マーケティング(企業→CP)
   インセンティブ、能力開発・教育訓練、マニュアル・標準化
 インタラクティブ・マーケティング(CP⇔顧客)
   サービス・エンカウンター、顧客満足度の向上

時系列的なサービス方法の移り変わり
 Before:広告・DM、Pull戦略、商品情報
  ↓
 In:接客技術、Push戦略、ISM
  ↓
 After:苦情処理、認知不協和の解消

売上=客数×客単価
 客数=既存顧客+新規顧客
 客単価=平均買上単価×買上点数
 利益=売上-費用

マーケティング事例におけるITの活用について
 マーケティング事例で重要な情報システムは、顧客カードシステムとPOSシステムである。

顧客カードシステムの活用方法
 顧客データの分析→優良顧客・リピーターの維持拡大
 RFM分析:Recency(最新購買日)、Frequency(購買頻度)、Monetary(購買金額)による顧客のランク付け
 FSP:Frequent Shoppers Program(フリークエント・ショッパーズ・プログラム)
  顧客にポイントカードを発行し、購入量・購入頻度などに応じて段階的に付加サービスを提供することで優良顧客の維持拡大を図る。

POSシステムの活用方法
 売れ筋や死に筋商品の把握→最適な品揃えや死蔵在庫の処分など商品在庫の適正化に活用
 時間や曜日別の繁忙期・閑散期の把握→最適なレイバースケジュールの構築など従業員管理に活用

 マーケティング・流通事例を考察するにあたり岩崎 邦彦先生の著書、「スモールビジネス・マーケティング―小規模を強みに変えるマーケティング・プログラム」の熟読は避けて通れない。次回はこの本についてまとめる予定だ。

2010年1月14日木曜日

各事例の対応方法 組織・人事事例

組織・人事 事例

事例問題を解く際は、全事例共通して次の順番で考察していく。
 1.事例会社(社長)の経営理念を確認する。
 2.SWOT分析による外部環境分析と内部資源分析を行う。
 3.経営戦略(ドメイン)の設定を行う。
 4.事業戦略の構築および機能別戦略の構築を行う。
組織・人事事例の場合は、「4.」の段階で組織戦略と人事戦略を考えることになる。

組織戦略

組織構造
 組織戦略は、「部門、階層、権限、コミュニケーション」の視点で効率的な組織運営を可能とする組織構造と良好な組織文化の形成を目的とする。
 組織構造は、機能別組織、事業部別組織、マトリックス組織などが代表的なものだ。そのメリットとデメリットを考えると以下のようになる。

組織構造のメリット・デメリット
 機能別組織
  メリット :各部門の専門性向上、命令系統の一元化、規模の経済性の追求
  デメリット:部門間のセクショナリズム、トップの負担増大、意思決定の遅れ
 事業部別組織
  メリット :意思決定の迅速化、利益責任の明確化、経営人材の育成、トップは戦略に専念可能
  デメリット:事業部間連携の低下、経営資源の重複、短期的利益の追求、全社利益より事業部利益を優先
 マトリックス組織
  メリット :環境変化への柔軟な対応
  デメリット:部門間調整の複雑化、命令系統の混乱

 事例で組織構造上の問題点が述べられていた場合は、この組織構造のメリット・デメリットを考慮の上、別の組織構造へ移行することを考える。この場合、現状の組織構造におけるデメリットを述べ、別の組織構造へ移行する際のメリットを理由に効率的な組織運営ができることをアピールするのだ。

組織文化
 組織文化は、組織の中で共有された行動原理や思考様式のことだ。事例上、組織文化に問題があると指摘された場合は、以下のキーワードを使用して記述すると回答しやすい。

組織文化の問題点における着目点
 社長のリーダーシップ
 バーナードの組織成立3要素:共通目的、貢献意欲、コミュニケーション

 経営理念(ビジョン)のもと、社長のリーダーシップによって問題を克服していく視点と組織成立の3要素である「共通目的、貢献意欲、コミュニケーション」を切り口にして問題を多面的に分析する視点が、良好な組織文化を形成する上で重要なポイントだ。

人事戦略
 人事戦略は、「雇用、人事考課、賃金、教育訓練」の視点で従業員のモラール向上と専門的知識や技能を習得するための能力開発を行い、顧客対応力を高めることを目的とする。

モラール向上策
 モラール向上を考える際には、動機づけ衛生理論を切り口に持ってくると考えがまとまりやすい。

動機づけ衛生理論
 動機づけ要因:達成すること、承認されること、仕事そのもの、責任、昇進など
 衛生要因  :会社の政策と管理方式、監督、給与、対人関係、作業条件など

 考えやすくするために、もう少し単純なモデルに変更しよう。たくさん項目があっても、試験上でとっさに出てこなければ意味はない。動機づけ要因と衛生要因に該当する具体的な制度をあらかじめ考えておくと使いやすいだろう。ここでは、以下のように考えた。
 動機づけ要因は評価にまつわる項目だ。このため、「評価基準の明確化」を問題解決策として挙げておこう。また、衛生要因は給与や作業条件にまつわる項目だ。このため、「業績連動型賃金」を問題解決策として挙げておこう。このように、問題点をあらかじめ想定して準備しておくと回答時間の短縮に役立つ。

モラール向上→動機づけ衛生理論
 動機づけ要因:評価基準の明確化(透明性・公平性・納得性)
 衛生要因  :業績連動型賃金

能力開発
 能力開発は、「OJT、Off-JT、自己啓発」の3つの視点で考えていく。OJTは職場の上司や先輩が部下や後輩に対し、具体的な仕事を通じて行う教育訓練、Off-JTは通常の業務を一時的に離れて行う教育訓練、自己啓発は自己をより高い段階へ上昇させようとする自主的な活動のことだ。
 業務上必要なスキル等の不足については、事例の状況に応じて「OJT、Off-JT、自己啓発」をうまく組み合わせて回答していく。
 ここでのキーワードは「計画的・継続的」である。長期的な視野に立って能力開発を行う必要性を訴えるのだ。

能力開発→計画的・継続的な視点で行う
 OJT
 Off-JT
 自己啓発

2010年1月13日水曜日

各事例の対応方法 環境分析と経営戦略

二次試験用のキーワードがまとまったら、次は各事例の対応方法についてまとめてみよう。

環境分析(SWOT、3C)
 事例問題では、まず初めに環境分析を行い、外部環境と内部資源について分析する。
 環境分析に使うフレームワークは3C分析かSWOT分析だ。
  3C分析は、自社、顧客、競合に分けて分析を行う方法(マーケティング事例でよく用いられる)
  SWOT分析は、外部環境を機会と脅威に分け、内部資源を強みと弱みに分けて分析を行う方法
 環境分析は、事例本文を読みながら、機会と脅威、強みと弱みをマーカーで色分けしながら行うはずだ。よく鉛筆一本でマーキングしている人を見かけるが、時間制限がある中で目立たない鉛筆では見落としが多くなる。終了直前5分前に一気に回答を書き上げる場合も多々あるので、自分が大事に思うところはグリグリにマーキングし、見落としが無いようにしておきたいものである。
 また、字数制限があるのも中小企業診断士試験の特徴である。事例本文の一行分の文字数は何文字あるか知っているだろうか?…答えは38文字である。つまり事例本文から文章を引用する場合、一行の4分の1程度が10文字分となるのだ。マーカーで一面に色を付けている人を見受けるが、回答に使用できる文章はほんの一握りである。コアになる文章はどこにあるのか、見つけやすくする工夫も必要だ。

経営戦略
 SWOT分析後に経営戦略を考える場合、以下の方向性が考えられる。
  一つ目は、外部環境の機会に自社の強みを活用する戦略
  二つ目は、外部環境の機会に自社の弱みを克服することで対応していく戦略
  ※脅威は基本的に回避の方向となる。
 一つ目の戦略は二次試験のうち、マーケティング事例によく取られる方向性であり、二つ目の戦略は、生産事例でよく取られる方向性だ。
 マーケティング事例では、顧客ニーズに対応するために事例企業の専門知識や顧客対応力などを活用して競合と差別化していく戦略が取られることが多い。
 これに対し生産事例では、顧客から短納期化の要請が発生しており、生産計画(工数計画、負荷計画、日程計画)や生産管理(進度管理、余力管理、現品管理)上の問題を克服することで対応していく傾向にある。

 経営戦略(ドメイン)を記述する場合には、1つの作法がある。
  「誰に」「何を」「どのように」
 この3つを明確に記述することだ。
 「誰に」とはニーズの主体である。できるだけ具体的に記述することが重要だ。例えば、「高齢者に」と記述するのではなく「宅配サービスを必要としている高齢者に」とターゲットを絞って記述する。これが良い回答にするためのテクニックだ。
 「何を」とは自社の製品やサービスだ。競合に対して差別化できる製品やサービスを記述することになる。また、近年の顧客ニーズの多様性から心理変数の要素、つまりライフスタイルや価値観を提供する視点が必要になっている。例えば自社の商品を記述する際に、「おいしいデザートを」と記述するのではなく「フルーツの甘さを活かして糖分を抑えた健康志向のデザートを」という具合だ。
 「どのように」とは自社の強みを活用するということだ。例えば事例企業に専門知識を豊富に持った人材がいるとしよう。この人材はこの事例企業にとって強みとなりえる人材だ。こうした場合、「専門知識を持った人材を活用して提案営業を実施する。」といった記述により、強みを活用していることを印象付けるようにした方がいい。
 いずれの場合においても与件の文章を明確に使用することが、事例に沿った提案だというアピールに繋がることを忘れないで欲しい。

最後に回答を記述する際に必要な文章例を以下に示す。

覚えておきたい言い回し13選
 ・顧客満足の向上
 ・顧客対応力の強化
 ・顧客との関係性強化
 ・顧客ニーズへの迅速な対応
 ・顧客の利便性向上
 ・固定客化
 ・顧客の生涯価値、顧客シェアの向上
 ・競合との差別化
 ・競争優位性の発揮
 ・外部環境への適合
 ・経営基盤の強化
 ・経営革新の実施
 ・内部資源の有効活用

究極の切り口(内部・外部)
 ・内部:
   強みを強化する→目に見えない経営資源の強化
   弱みを克服する→管理体制の強化、経営資源の有効活用
 ・外部:
   市場面への対応→顧客ニーズへの対応、顧客関係性の強化
   競合面への対応→差別化による競争優位性の獲得

このような、決まり文句を増やしていくことが、合格答案を書くのに必要となる。

2010年1月12日火曜日

二次試験用のキーワード(一次試験キーワードから抜粋)

 二次試験のキーワードを考えてみよう。二次試験は記述式であるので、自分が使いこなせるキーワードを厳選しておく必要がある。一次試験のキーワードの中から事例ごとのキーワードを洗い出す必要がある。

1.事例共通
1-1.経営戦略キーワード
⑴ 経営計画と経営管理
 マネジメント・サイクル、意思決定の階層構造、経営管理の原則

⑵ 企業戦略
 外部環境分析・内部環境分析事業領域(ドメイン)の決定階層別戦略(事業戦略、機能戦略)

⑶ 成長戦略
 成長のマネジメント多角化(リスクとシナジー、多角化戦略の分類)、M & A、戦略的提携

⑷ 経営資源戦略
 経営資源、PPM(SBU、製品ライフサイクル、経験曲線、市場占有率 等)

⑸ 競争戦略
 業界の競争構造分析、競争回避の戦略、競争優位の戦略(コストリーダーシップ、差別化、集中)競争地位別戦略(チャレンジャー、リーダー、フォロワー、ニッチャー)、デファクト・スタンダード、コア・コンピタンス

⑹ 技術経営(MOT)
 技術戦略(自社資源の評価、外部資源の活用(共同開発、技術導入 等))、知識経営(ナレッジ・マネジメント)

⑺ 国際経営(グローバル戦略)

⑻ 企業の社会的責任(CSR)

⑼ 企業行動と供給曲線
 生産関数と限界生産性、費用曲線とサンクコスト、収穫逓増・逓減、規模の経済性・範囲の経済性

⑽ 産業組織と競争促進
 市場構造と競争モデル、製品差別化、参入障壁、研究開発と技術革新、規制緩和

1-2.経営情報管理キーワード
⑴ 経営戦略と情報システム
 情報システムの種類と内容(データ支援システム、意思決定支援システム、経営者支援情報システム、戦略情報システム、情報ネットワークシステム、企業革新と情報システム)

⑵ 情報システムの運用管理
 システム運用(利用者の参加・教育、情報専門家の育成・配置、システム運用管理体制、中長期的なシステム改善計画策定、プロジェクト管理)、セキュリティとリスク管理(機密保護・改ざん防止、不正侵入対策・可用性対策、インテグリティ対策、リスク管理)

⑶ 外部情報システム資源の活用
 アウト/インソーシング

2.組織・人事
2-1.組織・人事キーワード
⑴ 組織戦略
 組織と戦略(事業部制、カンパニー制、持株会社等)組織文化と戦略

⑵ 経営組織の形態と構造
 組織形態(職能制組織、機能別組織、事業部制組織、マトリックス組織)組織の構成原理(コミュニケーション、命令の一元性、分業・専門化と調整、権限と責任)

⑶ 経営組織の運営
 意思決定システム、モチベーション(マズローの欲求段階説、ハーズバーグの2要因理論、ヴルームの期待理論)モチベーション管理モラール管理リーダーシップ(特性理論、行動理論、二次元論、状況理論)、経営者・管理者行動、組織と文化(経営理念、組織風土と組織文化)、組織活性化(一体化度、無関心度、組織開発、小集団活動、ナレッジ・マネジメント/組織学習)、組織間関係セクショナリズムネットワーク組織

⑷ 人的資源管理
 人事・労務情報(職務分析の意義と方法、人事考課の意義と方法)、雇用管理(採用、配置、人事異動・昇進、資格制度)能力開発(教育訓練・能力開発の種類(階層・目的)、能力開発の方法(OJT、Off - JT、自己啓発)、組織開発の意義と方法)、賃金管理(賃金体系、基本給類型の体系、職務評価方法、業績連動給)、作業条件管理(労働時間管理、労働安全管理、労働衛生管理)、経営戦略と人的資源管理の適合性

3.マーケ・流通
3-1.マーケ・流通キーワード
⑴ マーケティング計画と市場調査
 マーケティング目標設定(目標売上高、目標利益、市場占有率)、標的市場の設定と接近(セグメンテーションターゲッティングポジショニング)、製品ライフサイクルマーケティング・ミックス

⑵ 消費者行動
 デモグラフィック変数(年齢、性別、家族構成、家庭のライフサイクル、所得水準、職業、学歴、宗教、人種、国籍など)、サイコグラフィック変数(ニーズ、ライフスタイル、パーソナリティー、社会的階層、価値観、購買動機など)、行動変数(購買状況、使用頻度、購買動機、購買パターンなど)、社会的決定要素(家族、準拠集団、社会階層、文化)、意思決定(評価基準、ブランド選定の規則

⑶ 製品計画
 製品の種類:消費者用品(最寄り品、買回り品、専門品)・産業用品、プロダクト・ミックス(製品ラインの幅と深さ)、ブランドの利点

⑷ 製品開発
 市場性評価(市場動向分析、競合分析)、マーチャンダイジング(製品企画・仕様・デザイン)

⑸ 価格計画
 価格決定(小売価格の決定、製造業における価格調整)

⑹ 流通チャネルと物流
 物流(受注処理、物資の取扱い、保管、在庫管理、輸送、サプライチェーン・マネジメント)

⑺ プロモーション
 プッシュ政策プル政策製品ライフサイクル人的販売広告販売促進教育・コンテスト・実施プログラム)、パブリシティ

⑻ 応用マーケティング
 関係性マーケティング顧客関係性管理(CRM)サービス・マーケティングダイレクト・マーケティング

3-2.店舗・販売管理キーワード
⑴ 店舗・商業集積
 店舗施設に関する法律知識(都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、建築基準法、消防法)、店舗立地と出店(立地条件、商圏分析、出店評価)

⑵ 商品仕入・販売(マーチャンダイジング)
 商品予算計画(販売予算、仕入予算、在庫予算)、商品計画(業種業態、商品構成、品揃え)、商品調達・取引条件(仕入方法、仕入先の選定管理、取引条件)、売場構成・陳列(売場レイアウト、商品陳列)、価格設定(価格政策、価格決定手法、特売・値下げ)、販売促進(販売促進計画、店内プロモーション、店外プロモーション)

⑶ 商品補充・物流
 商品在庫管理(発注方法、在庫数量管理、需要予測)

⑷ 流通情報システム
 店舗システム(POS システム、顧客管理システム)、物流情報システム(バーコード、RFID、トレーサビリティ)

4.生産・技術
4-1.生産管理キーワード
⑴ 生産管理概論
 生産管理の基礎(生産管理の基本機能、管理目標(PQCDSME:生産性、品質コスト・経済性、納期・生産量、安全性、モラール、環境)、生産形態と情報システム(生産形態(見込生産、受注生産、多種少量生産、少種多量生産、個別生産、ロット生産、連続生産 等)、情報システム(生産システムへのIT の利用、ERP、SCM、FA 等))

⑵ 生産のプラニング
 工場立地とレイアウト(工場立地の留意点(国内生産、海外生産、生産拠点 等)、工場レイアウト(システマティックレイアウトプラニング、プラントレイアウト、設備配置 等))、製品開発・製品設計(製品開発(製品のライフサイクル顧客満足、製品系列 等)、製品設計(機能設計、生産設計、組立容易性VA / VE 等)、設計技術(コンカレントエンジニアリングCADCAM 等))、生産方式(ライン生産(ラインバランシング、編成効率、ラインの形態 等)セル生産(自動加工、グループテクノロジー、1人生産 等)、管理方式(JIT、オーダエントリー、生産座席予約、製番管理 等))、生産計画需要予測(指数平滑、移動平均 等)、需給計画(MRP 等)、日程計画大日程計画中日程計画小日程計画基準日程、スケジューリング、PERT 等)、能力と負荷(人員計画負荷計画標準時間稼働率余裕率 等))、資材調達・外注管理(購買管理(ABC分析発注方式EOQ 等)、外注管理選定基準外注指導外注の評価 等))

⑶ 生産のオペレーション
 品質管理(QC 手法(QC 七つ道具、新QC 七つ道具 等)、TQMISO9000)、物の流れ(資材・在庫・運搬)の管理(現品管理在庫管理マテリアルハンドリング、分析手法(製品工程分析、運搬分析手法、活性示数、流動数分析 等))、人の動きの管理(作業管理(標準作業、標準時間モラール多能工化職務訓練、職務設計 等)、作業研究(方法研究、作業測定、時間研究 等)、分析手法(作業者工程分析、連合作業分析、動作分析、稼働分析 等))、設備管理(設備管理の基礎(5S、工具管理、設備のライフサイクル 等)、保全保全方法、故障、工事、保全活動 等)、生産の合理化・改善(原理原則(3SECRS の原則(改善の原則)、5W 1H、動作経済の原則 等)、自主管理活動)、廃棄物等の管理(環境保全に関する法規、廃棄物の処理・管理(基礎的技術、環境対策、ゼロエミッション 等)、資源の有効活用(リフューズ、リデュース、リサイクル、リユース 等)ISO14000

5.財務・会計
5-1.財務・会計キーワード
⑴ 簿記の基礎
 簿記原理、会計帳簿、決算処理一巡(試算表・精算表の作成、決算仕訳、貸借対照表・損益計算書の作成)

⑵ 企業会計の基礎
 損益計算書(収益の会計、費用の会計)、貸借対照表(資産の会計、負債の会計、純資産の会計)、キャッシュフロー計算書、企業結合(合併・分割、連結決算)、会計ディスクロージャー、税効果会計

⑶ 原価計算
 原価概念原価計算の種類と方法

⑷ 経営分析
 経営比率分析(収益性、流動性、生産性、成長性)損益分岐点分析利益増減分析

⑸ 利益と資金の管理
 利益計画(限界利益と貢献利益、プロダクト・ミックス)、予算・実績差異分析、資金繰りと資金計画

⑹ キャッシュフロー(CF)
 CF の種類と算出(CF の概念、営業CF、投資CF、財務CF)、CF マネジメント(フリーCF、運転資金の管理、CF 関連比率)

⑺ 資金調達と配当政策
 資金調達の形態(内部金融と外部金融、直接金融と間接金融、自己資本と他人資本、企業間信用、リース)、資本コスト(借入金のコスト、社債のコスト、普通株式のコスト、剰余金のコスト、加重平均資本コスト)、配当政策(配当の種類、配当性向、配当政策の効果)、最適資本構成(財務レバレッジ、モジリアーニ・ミラー(MM)理論)

⑻ 投資決定
 貨幣の時間価値と割引キャッシュフロー(DCF)投資評価基準(回収期間法、会計的投資利益率法、内部収益率(IRR)法、正味現在価値(NPV)法、収益性指数法)不確実性下の投資決定

⑼ 証券投資論
 ポートフォリオ理論(ポートフォリオのリスクとリターン、効率的ポートフォリオ、最適ポートフォリオの選択)、資本市場理論(資本資産評価モデル(CAPM)の理論、指数モデル、CAPM と財務決定)

⑽ 企業価値
 株価の算定(配当割引モデル、株価収益率、株価純資産倍率、株価キャッシュフロー倍率)、企業価値評価モデル(割引超過利益モデル、割引キャッシュフローモデル)企業合併・買収における企業評価(収益還元方式、純資産方式、市場株価比較方式)

⑾ デリバティブとリスク管理
 リスクの種類、オプション取引(コールオプション、プットオプション)先物取引(先物為替予約、通貨先物取引)、スワップ(金利スワップ、通貨スワップ)

2010年1月11日月曜日

7.中小企業経営・中小企業政策 試験科目設置の目的と目的

試験科目設置の目的と目的

7.中小企業経営・中小企業政策
(科目設置の目的)
 中小企業診断士は、中小企業に対するコンサルタントとしての役割を期待されており、中小企業経営の特徴を踏まえて、経営分析や経営戦略の策定等の診断・助言を行う必要がある。そこで、企業経営の実態や各種統計等により、経済・産業における中小企業の役割や位置づけを理解するとともに、中小企業の経営特質や経営における大企業との相違を把握する必要がある。
 また、創業や中小企業経営の診断・助言を行う際には、国や地方自治体等が講じている各種の政策を、成長ステージや経営課題に合わせて適切に活用することが有効である。このため、中小企業の経営や中小企業政策全般について、以下の内容を中心に知識を判定する。

(内 容)
⑴ 中小企業経営
① 経済・産業における中小企業の役割、位置づけ
各種統計等にみる中小企業、産業構造と中小企業、大企業と中小企業、中小企業性業種、地域産業等

② 中小企業の経営特性と経営課題
各種統計にみる中小企業経営の特徴、中小企業経営の特質と課題(経営基盤、経営の多様性、中小企業の経営戦略、先進性と旧態性、経営資源、ビジネスシステム、産業集積、商店街、中小企業の成長 等)、業種・業態別経営特質と課題(製造業、卸売業、小売業、サービス業、物流業、ベンチャー企業、下請企業、小規模企業 等)、中小企業の経営環境と経営革新(経済事情、経営環境の変化、国際化、金融、労働、環境・エネルギー、取引、経営革新への取り組み 等)、中小企業経営に係る最近の動向(情報技術の活用、ネットワーク、産学官連携、海外展開、創業、企業再生、知的財産権 等)

⑵ 中小企業政策
① 中小企業に関する法規と政策
中小企業関連法規、中小企業政策の体系と内容(経営サポート、金融サポート、財務サポート、商業・地域サポート、相談・情報提供)、中小企業支援事業の実施体制と政策、中小企業新事業活動促進法の体系と政策、中小企業経営と施策活用

② 中小企業政策の役割と変遷

⑶ その他中小企業経営・中小企業政策に関する事項

6.経営情報システム 試験科目設置の目的と内容

試験科目設置の目的と内容

6.経営情報システム
(科目設置の目的)
 情報通信技術の発展、普及により、経営のあらゆる場面において情報システムの活用が重要となっており、情報通信技術に関する知識を身につける必要がある。また、情報システムを経営戦略・企業革新と結びつけ、経営資源として効果的に活用できるよう適切な助言を行うとともに、必要に応じて、情報システムに関する専門家に橋渡しを行うことが想定される。このため、経営情報システム全般について、以下の内容を中心に基礎的な知識を判定する。

(内 容)
1.情報通信技術に関する基礎的知識
⑴ 情報処理の基礎技術
ハードウェア(コンピュータの機能、コンピュータによる処理、コンピュータの利用)、ソフトウェア(ソフトウェアとその種類、オペレーティングシステム、プログラム言語と言語プロセッサ、パッケージソフト・ミドルウェア)、プログラム設計(アルゴリズム、データ構造、プログラミング技法)

⑵ 情報処理の形態と関連技術
バッチ処理、オンライン処理、リアルタイム制御処理、分散処理、クライアント・サーバシステム、対話型処理システム、マルチメディアシステム、Web コンピューティング

⑶ データベースとファイル
データベースの構造・種類、データベースの管理システム、ファイルの概念、ファイルの編成

⑷ 通信ネットワーク
通信ネットワークの役割、通信ネットワークの基礎技術、ネットワーク・アーキテクチャ、LAN・VAN、インターネット・イントラネット・エクストラネット

⑸ システム性能
システムの性能評価、システムの信頼性・経済性

⑹ その他情報通信技術に関する基礎的知識に関する事項

2.経営情報管理
⑴ 経営戦略と情報システム
経営戦略と情報化(経営戦略の明確化、経営戦略の策定、e -ビジネス、情報化社会)、情報システムの種類と内容(データ支援システム、意思決定支援システム、経営者支援情報システム、戦略情報システム、情報ネットワークシステム、企業革新と情報システム)

⑵ 情報システムの開発
システム化の計画とプロセス(システム構想策定、システム分析・設計技法、システム実行計画の作成、システム設計開発体制の整備)、現行システムの分析(業務分析・設計、利用者の要求への対応)、全般システム分析・設計(目標定義、概念モデル、組織上の制約、データ処理組織の定義、システム設計プロポーザルの作成)、システムテスト・導入支援(システムテスト技法、システム導入支援)

⑶ 情報システムの運用管理
システム運用(利用者の参加・教育、情報専門家の育成・配置、システム運用管理体制、中長期的なシステム改善計画策定、プロジェクト管理)、セキュリティとリスク管理(機密保護・改ざん防止、不正侵入対策・可用性対策、インテグリティ対策、リスク管理)

⑷ 情報システムの評価
品質評価、価値評価

⑸ 外部情報システム資源の活用
アウト/インソーシング

⑹ 情報システムと意思決定
問題分析・意思決定技法、計量分析技法

⑺ その他経営情報管理に関する事項

5.経営法務 試験科目設置の目的と内容

試験科目設置の目的と内容

5.経営法務
(科目設置の目的)
 創業者、中小企業経営者に助言を行う際に、企業経営に関係する法律、諸制度、手続等に関する実務的な知識を身につける必要がある。また、さらに専門的な内容に関しては、経営支援において必要に応じて弁護士等の有資格者を活用することが想定されることから、有資格者に橋渡しするための最低限の実務知識を有していることが求められる。このため、企業の経営に関する法務について、以下の内容を中心に基本的な知識を判定する。

(内 容)
⑴ 事業開始、会社設立及び倒産等に関する知識
事業の開始(個人の事業開始(個人事業の特徴、開業までの準備)、法人の事業開始(法人の種類、会社の設立と登記、組合の設立と登記))、届出・手続等(許認可・届出が必要な事業、労働保険・社会保険の届出、税務上の届出(個人事業の開廃業等届出書、給与支払事業所等の開設届出書、所得税の青色申告の承認申請書、棚卸資産の評価方法・減価償却資産の償却方法 等))、合併等の手続(合併・営業譲渡等の手続、組織変更手続(個人→法人、組合→会社))、倒産等の手続(倒産等に関する法律に基づく手続(会社更生法、民事再生法、会社法(会社の解散、清算、特別清算))

⑵ 知的財産権に関する知識
産業財産権(工業所有権)の内容と取得方法(特許権、実用新案権、意匠権、商標権)、著作権の内容(著作権等の種類と内容(著作者人格権、著作権、著作隣接権)、著作権の成立と保護(成立、保護期間、著作権侵害に対する措置))、知的財産権に関する契約等(産業財産権(工業所有権)に関する契約(移転契約、ライセンス契約)、著作権等に関する契約(音楽・キャラクター等のライセンス契約、ソフトウェアのライセンス契約 等)、トレードシークレットに関する知識)

⑶ 取引関係に関する法務知識
契約に関する基礎知識(契約の成立要件(当事者、目的、意思表示)、契約の有効要件、外国企業との取引に関する法律知識、英文契約に関する知識)、契約の類型と内容(守秘義務契約、共同研究契約、売買契約(動産売買、貿易契約(CIF、FOB 等)、不動産売買、有価証券売買)、事業提携契約、フランチャイズ契約、事業買収契約、合弁契約)

⑷ 企業活動に関する法律知識
民法(物権、債権、相続)、会社法(株式、会社の機関、会社の計算)、金融商品取引法、独占禁止法、不正競争防止法、製造物責任法、消費者保護法、トレードシークレット

⑸ 資本市場へのアクセスと手続
資本市場に関する基礎的知識(市場の種類、必要な届出書・通知書等の書式と根拠法)、有価証券報告書とディスクロージャー(有価証券報告書の内容と作成、インベスターズ・リレーション)、社債発行の手続、株式公開手続

⑹ その他経営法務に関する事項

4.運営管理 試験科目設置の目的と内容

試験科目設置の目的と内容

4.運営管理(オペレーション・マネジメント)
(科目設置の目的)
 中小企業の経営において、工場や店舗における生産や販売に係る運営管理は大きな位置を占めており、また、近年の情報通信技術の進展により情報システムを活用した効率的な事業運営に係るコンサルティングニーズも高まっている。このため、生産に関わるオペレーションの管理や小売業・卸売業・サービス業のオペレーションの管理に関する全般的な知識について、以下の内容を中心に判定する。

(内 容)
Ⅰ 生産管理
⑴ 生産管理概論
生産管理の基礎(生産管理の基本機能、管理目標(PQCDSME:生産性、品質、コスト・経済性、納期・生産量、安全性、モラール、環境)、生産形態と情報システム(生産形態(見込生産、受注生産、多種少量生産、少種多量生産、個別生産、ロット生産、連続生産 等)、情報システム(生産システムへのIT の利用、ERP、SCM、FA 等))

⑵ 生産のプラニング
工場立地とレイアウト(工場立地の留意点(国内生産、海外生産、生産拠点 等)、工場レイアウト(システマティックレイアウトプラニング、プラントレイアウト、設備配置 等))、製品開発・製品設計(製品開発(製品のライフサイクル、顧客満足、製品系列 等)、製品設計(機能設計、生産設計、組立容易性、VA / VE 等)、設計技術(コンカレントエンジニアリング、CAD、CAM 等))、生産技術(材料(金属材料、非金属材料、複合材料 等)、加工技術(切削・研削、塑性加工、熱処理、化学処理 等)、自動機械(溶接、塗装、加工、組立、搬送、仕分け、保管、汎用機 等)、新技術(バイオテクノロジー、ナノテクノロジー 等))、生産方式(ライン生産(ラインバランシング、編成効率、ラインの形態 等)、セル生産(自動加工、グループテクノロジー、1人生産 等)、管理方式(JIT、オーダエントリー、生産座席予約、製番管理 等))、生産計画(需要予測(指数平滑、移動平均 等)、需給計画(MRP 等)、日程計画(大日程計画、中日程計画、小日程計画、基準日程、スケジューリング、PERT 等)、能力と負荷(人員計画、負荷計画、標準時間、稼働率、余裕率 等))、資材調達・外注管理(購買管理(ABC分析、発注方式、EOQ 等)、外注管理(選定基準、外注指導、外注の評価 等))

⑶ 生産のオペレーション
品質管理(QC 手法(QC 七つ道具、新QC 七つ道具 等)、TQM、ISO9000)、物の流れ(資材・在庫・運搬)の管理(現品管理、在庫管理、マテリアルハンドリング、分析手法(製品工程分析、運搬分析手法、活性示数、流動数分析 等))、人の動きの管理(作業管理(標準作業、標準時間、モラール、多能工化、職務訓練、職務設計 等)、作業研究(方法研究、作業測定、時間研究 等)、分析手法(作業者工程分析、連合作業分析、動作分析、稼働分析 等))、設備管理(設備管理の基礎(5S、工具管理、設備のライフサイクル 等)、保全(保全方法、故障、工事、保全活動 等)、評価と更新(設備効率、設備更新、減価償却、耐用年数 等)、経済性工学(独立案、排反案、現価、年価、終価、投資案の評価 等)、TPM)、生産の合理化・改善(原理原則(3S、ECRS の原則(改善の原則)、5W 1H、動作経済の原則 等)、自主管理活動)、廃棄物等の管理(環境保全に関する法規、廃棄物の処理・管理(基礎的技術、環境対策、ゼロエミッション 等)、資源の有効活用(リフューズ、リデュース、リサイクル、リユース 等)、ISO14000)

⑷ その他生産管理に関する事項

Ⅱ 店舗・販売管理
⑴ 店舗・商業集積
店舗施設に関する法律知識(都市計画法、大規模小売店舗立地法、中心市街地活性化法、建築基準法、消防法)、店舗立地と出店(立地条件、商圏分析、出店評価)、商業集積(ショッピングセンター、商店街、共同店舗)、店舗施設(店舗構造、店舗設備・什器、照明と色彩)

⑵ 商品仕入・販売(マーチャンダイジング)
商品予算計画(販売予算、仕入予算、在庫予算)、商品計画(業種業態、商品構成、品揃え)、商品調達・取引条件(仕入方法、仕入先の選定管理、取引条件)、売場構成・陳列(売場レイアウト、商品陳列)、価格設定(価格政策、価格決定手法、特売・値下げ)、販売促進(販売促進計画、店内プロモーション、店外プロモーション)

⑶ 商品補充・物流
商品在庫管理(発注方法、在庫数量管理、需要予測)、輸配送管理(輸送手段・ネットワーク、ユニットロード、共同輸配送)、物流センター管理(物流センター機能・設計、物流センター運営)

⑷ 流通情報システム
店舗システム(POS システム、顧客管理システム)、取引情報システム(商品コード、商品マスター)、物流情報システム(バーコード、RFID、トレーサビリティ)

⑸ その他店舗・販売管理に関する事項

2010年1月10日日曜日

3.企業経営理論 試験科目設置の目的と内容

試験科目設置の目的と内容

3.企業経営理論
(科目設置の目的)
 企業経営において、資金面以外の経営に関する基本的な理論を習得することは、経営に関する現状分析及び問題解決、新たな事業への展開等に関する助言を行うにあたり、必要不可欠な知識である。また、近年、技術と経営の双方を理解し、高い技術力を経済的価値に転換する技術経営(MOT)の重要性が高まっており、こうした知識についても充分な理解が必要である。このため、経営戦略論、組織論、マーケティング論といった企業経営に関する知識について、以下の内容を中心に判定する。

(内 容)
1.経営戦略論
⑴ 経営計画と経営管理
マネジメント・サイクル、期間別経営計画、意思決定の階層構造、経営管理の原則、意思決定プロセス

⑵ 企業戦略
外部環境分析・内部環境分析、事業領域(ドメイン)の決定、階層別戦略(事業戦略、機能戦略)、戦略立案プロセス、組織と戦略(事業部制、カンパニー制、持株会社等)、組織文化と戦略

⑶ 成長戦略
成長のマネジメント、多角化(シナジー、多角化戦略の分類)、M & A、戦略的提携

⑷ 経営資源戦略
経営資源、PPM(SBU、製品ライフサイクル、経験曲線、市場占有率 等)

⑸ 競争戦略
業界の競争構造分析、競争回避の戦略、競争優位の戦略(コストリーダーシップ、差別化、集中)、競争地位別戦略(チャレンジャー、リーダー、フォロワー、ニッチャー)、デファクト・スタンダード、コア・コンピタンス

⑹ 技術経営(MOT)
技術戦略(技術戦略の策定(技術の特徴把握・評価、自社資源の評価、外部資源の活用(共同開発、技術導入 等))、特許戦略)、研究開発管理(研究開発組織(組織形態、管理者の役割、技術者の人事管理と能力開発)、研究開発計画と開発プロセス、予算管理と特許管理)、イノベーションのマネジメント、知識経営(ナレッジ・マネジメント)

⑺ 国際経営(グローバル戦略)

⑻ 企業の社会的責任(CSR)

⑼ その他経営戦略論に関する事項

2.組織論
⑴ 経営組織の形態と構造
組織形態(職能制組織、機能別組織、事業部制組織、マトリックス組織)、組織の構成原理(コミュニケーション、命令の一元性、分業・専門化と調整、権限と責任)

⑵ 経営組織の運営
意思決定システム、モチベーション(マズローの欲求段階説、ハーズバーグの2要因理論、ヴルームの期待理論)、モチベーション管理、モラール管理、リーダーシップ(特性理論、行動理論、二次元論、状況理論)、経営者・管理者行動、組織と文化(経営理念、組織風土と組織文化)、組織活性化(一体化度、無関心度、組織開発、小集団活動、ナレッジ・マネジメント/組織学習)、組織間関係(組織間関係の類型、分析モデル(資源依存、組織正当性、エージェンシー、組織エコロジー)、ネットワーク組織、クラスター)、企業統治(コーポレート・ガバナンス)、組織のパワーとポリティクス、組織変革(チェンジ・マネジメント)

⑶ 人的資源管理
労働関連法規(労働基準法、労働組合法、労働安全衛生法、労働保険、社会保険、労働者派遣法)、人事・労務情報(職務分析の意義と方法、人事考課の意義と方法)、雇用管理(採用、配置、人事異動・昇進、資格制度)、能力開発(教育訓練・能力開発の種類(階層・目的)、能力開発の方法(OJT、Off - JT、自己啓発)、組織開発の意義と方法)、賃金管理(賃金体系、基本給類型の体系、職務評価方法)、作業条件管理(労働時間管理、労働安全管理、労働衛生管理)、経営戦略と人的資源管理の適合性

⑷ その他組織論に関する事項

3.マーケティング論
⑴ マーケティングの基礎概念
マーケティングの定義、マーケティング・コンセプト、マーケティングの機能、ソーシャルマーケティング

⑵ マーケティング計画と市場調査
マーケティング目標設定(目標売上高、目標利益、市場占有率)、標的市場の設定と接近(市場の分類、総合的市場接近法、市場細分化接近法)、マーケティング・ミックス(製品ライフサイクル、マーケティング目標と戦略、マーケティング・ミックスの展開)、市場調査の意義と方法(市場調査の目的、対象領域、種類、プロセス)

⑶ 消費者行動
消費者行動の決定要素とプロセス(基本的決定要素と環境的決定要素、消費者行動のモデル)、心理的決定要素(ニーズ、動機付け、態度、学習、パーソナリティ)、社会的決定要素(家族、準拠集団、社会階層、文化)、意思決定(評価基準、ブランド選定の規則)

⑷ 製品計画
製品の意義(製品の定義、製品の種類:消費者用品(最寄り品、買回り品、専門品)・産業用品(原材料、主要設備品、補助設備品、構成部品、加工材料、業務用消耗品、業務サービス))、プロダクト・ミックス(定義、プロダクト・ラインの幅と深さ)、ブランド計画(ブランドの利点、種類、ブランド・ネーム、マルチブランド、ブランド・ポジション)、パッケージング計画(意義、目的、開発)

⑸ 製品開発
市場性評価(市場動向分析、競合分析)、マーチャンダイジング(製品企画・仕様・デザイン、製品技術・製造コスト、テストマーケティング、製造計画、商業化(市場化)計画)

⑹ 価格計画
価格計画の目的と設定要因(価格目的、価格決定の検討要因、価格決定プロセス)、価格政策(開拓的価格政策、心理的価格政策、販売促進的価格政策)、価格決定(費用志向的価格決定、競争志向的価格決定、小売価格の決定、製造業における価格調整)

⑺ 流通チャネルと物流
流通チャネルの機能と種類(チャネルの目的、機能、チャネル統合、チャネルの種類)、流通チャネル政策(開放的流通チャネル、選択的流通チャネル、専属的流通チャネル、流通チャネルの評価と管理)、物流(受注処理、物資の取扱い、保管、在庫管理、輸送、サプライチェーン・マネジメント)

⑻ プロモーション
プロモーション政策(プロモーション・ミックス、プッシュ政策、プル政策、プロモーション戦略と製品ライフサイクル)、人的販売(役割、販売員の種類、進め方、販売員管理)、広告(広告の定義、種類、広告計画、媒体計画、広告表現)、販売促進(目的、種類、消費者向け:サンプリング・プレミアム・クーポン・教育・コンテスト・スタンプ、流通業者向け:ディーラーコンテスト・ヘルプス・販売助成・報奨金・プレミアム・特別出荷、社内向け:実施プログラム、関係法規:景品表示法 等)、PR(内容、必要性、使用媒体、方法、パブリシティ)

⑼ 応用マーケティング
関係性マーケティング、顧客関係性管理(CRM)、サービス・マーケティング、ダイレクト・マーケティング

⑽ その他マーケティング論に関する事項

2.財務・会計 試験科目設置の目的と内容

試験科目設置の目的と内容

2.財務・会計
(科目設置の目的)
 財務・会計に関する知識は企業経営の基本であり、また企業の現状把握や問題点の抽出において、財務諸表等による経営分析は重要な手法となる。また、今後、中小企業が資本市場から資金を調達したり、成長戦略の一環として他社の買収等を行うケースが増大することが考えられることから、割引キャッシュフローの手法を活用した投資評価や、企業価値の算定等に関する知識を身につける必要もある。このため、企業の財務・会計について、以下の内容を中心に知識を判定する。

(内 容)
⑴ 簿記の基礎
簿記原理、会計帳簿、決算処理一巡(試算表・精算表の作成、決算仕訳、貸借対照表・損益計算書の作成)

⑵ 企業会計の基礎
損益計算書(収益の会計、費用の会計)、貸借対照表(資産の会計、負債の会計、純資産の会計)、キャッシュフロー計算書、企業結合(合併・分割、連結決算)、会計ディスクロージャー、税効果会計

⑶ 原価計算
原価概念、原価計算の種類と方法

⑷ 経営分析
経営比率分析(収益性、流動性、生産性、成長性)、損益分岐点分析、利益増減分析

⑸ 利益と資金の管理
利益計画(限界利益と貢献利益、プロダクト・ミックス)、予算・実績差異分析、資金繰りと資金計画

⑹ キャッシュフロー(CF)
CF の種類と算出(CF の概念、営業CF、投資CF、財務CF)、CF マネジメント(フリーCF、運転資金の管理、CF 関連比率)

⑺ 資金調達と配当政策
資金調達の形態(内部金融と外部金融、直接金融と間接金融、自己資本と他人資本、企業間信用、リース)、資本コスト(借入金のコスト、社債のコスト、普通株式のコスト、剰余金のコスト、加重平均資本コスト)、配当政策(配当の種類、配当性向、配当政策の効果)、最適資本構成(財務レバレッジ、モジリアーニ・ミラー(MM)理論)

⑻ 投資決定
貨幣の時間価値と割引キャッシュフロー(DCF)、投資評価基準(回収期間法、会計的投資利益率法、内部収益率(IRR)法、正味現在価値(NPV)法、収益性指数法)、不確実性下の投資決定

⑼ 証券投資論
ポートフォリオ理論(ポートフォリオのリスクとリターン、効率的ポートフォリオ、最適ポートフォリオの選択)、資本市場理論(資本資産評価モデル(CAPM)の理論、指数モデル、CAPM と財務決定)

⑽ 企業価値
株価の算定(配当割引モデル、株価収益率、株価純資産倍率、株価キャッシュフロー倍率)、企業価値評価モデル(割引超過利益モデル、割引キャッシュフローモデル)、企業合併・買収における企業評価(収益還元方式、純資産方式、市場株価比較方式)

⑾ デリバティブとリスク管理
リスクの種類、オプション取引(コールオプション、プットオプション)、先物取引(先物為替予約、通貨先物取引)、スワップ(金利スワップ、通貨スワップ)

⑿ その他財務・会計に関する事項

1.経済学・経済政策 試験科目設置の目的と内容

中小企業診断士試験の「試験科目設置の目的」と「内容」についてまとめてみた。
出展は平成20年度中小企業診断士第1次試験案内からである。
二次試験の学習の第一歩は、キーワードの抽出を行うことだと思う。

1.経済学・経済政策
(科目設置の目的)
 企業経営において、基本的なマクロ経済指標の動きを理解し、為替相場、国際収支、雇用・物価動向等を的確に把握することは、経営上の意思決定を行う際の基本である。また、経営戦略やマーケティング活動の成果を高め、他方で積極的な財務戦略を展開していくためには、ミクロ経済学の知識を身につけることも必要である。このため、経済学の主要理論及びそれに基づく経済政策について、以下の内容を中心に知識を判定する。

(内 容)
⑴ 国民経済計算の基本的概念
国民所得概念と国民経済計算、貯蓄と投資、総需要と総供給

⑵ 主要経済指標の読み方
国民所得統計、雇用統計、鉱工業生産指数、消費者物価指数、国内企業物価指数、工業統計、商業統計、産業連関表、景気動向指数

⑶ 財政政策と金融政策
IS - LM 曲線、雇用と物価水準、マネーサプライ、資本市場・金融市場、政府支出と財政政策、貨幣理論と金融政策、景気変動と景気循環

⑷ 国際収支と為替相場
比較生産費と貿易理論、国際収支と為替変動、国際資本移動と国際資金フロー

⑸ 主要経済理論
ケインズ理論、サプライサイド・エコノミクス、マネタリズム、古典派と新古典派理論、新保守主義とシカゴ学派、新制度主義経済学

⑹ 市場メカニズム
需要・供給・弾力性の概念、市場均衡・不均衡、競争的市場の資源配分機能、「市場の失敗」と外部性、公共財と政府規制

⑺ 市場と組織の経済学
取引費用概念、プリンシパル・エージェント概念、情報の不完全性、ゲームの理論

⑻ 消費者行動と需要曲線
効用理論、予算制約と消費者の選択行動、代替効果と所得効果

⑼ 企業行動と供給曲線
利潤最大化仮説、生産関数と限界生産性、費用曲線とサンクコスト、収穫逓増・逓減、規模の経済性・範囲の経済性

⑽ 産業組織と競争促進
市場構造と競争モデル、独占の弊害と寡占下の協調行動、製品差別化と独占的競争、参入障壁と市場成果、研究開発と技術革新、事業活動の国際化と通商政策、中小企業と産業政策、規制緩和と民営化

⑾ その他経済学・経済政策に関する事項