2010年6月1日火曜日

事例問題にしがみつく方法(平成21年度 生産・技術 第3問)

 さて、第3問だ。C社のOEM事業推進について問われている。OEMに関しては平成13年度にも登場しており、生産・技術事例において重要なテーマとなっている。OEMの特徴については1次テキストでしっかり確認し、メリット・デメリットについてまとめておきたい。

第3問(配点40点)
 C社では、大手インテリア用品小売チェーンからOEM製品の取引要請があり共同で製品化を進めようとしている

(設問1)
 大手インテリア用品小売チェーンとのOEM製品取引は、C社にとってどのようなメリットがあるのかについて80字以内で述べよ

(設問2)
 C社のOEM事業推進において考えられる課題とその対応策について120字以内で述べよ

まず題意から考えよう!
リード文の題意:OEM製品の取引を進めようとしている。

(設問1)
題意:OEM製品取引は、C社にとってどのようなメリットがあるのかについて述べよ。
 解答の骨子
  例:メリットは、①~、②~、である。

(設問2)
題意:C社のOEM事業推進の課題とその対応策について述べよ。
 解答の骨子
  例:C社の課題は~である。その対応策は、①~、②~、である。

  ※具体的な事柄を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
   →「~により、~である」「~のため、~である」という表現を使う。

次に制約条件を考える!
リード文の制約条件
 ①大手インテリア用品小売チェーンからOEM製品の取引要請があった。
 ②C社と大手インテリア用品小売チェーンが共同で製品化
  →リード文の制約条件は忘れがちになるので注意する。
  →今回の設問ではいずれもC社のことについて問われていた。
 ※もし「C社」という単語が設問中から無くなれば・・・
  →C社だけではなく大手小売りチェーンに対するメリットや対応策を考える場合もある。

(設問1)
制約条件:大手インテリア用品小売チェーンとのOEM製品取引

(設問2)
制約条件:C社のOEM事業推進において

  →1次知識:OEMの特徴
   ※特徴を聞かれたら、メリット・デメリットで答える。
   ※4Pの視点で考えると以下の通りになる。
    OEMのメリット
     ・供給先の販売チャネルが利用できる
     ・プロモーション費用が節約できる
    OEMのデメリット
     ・販売価格、利益率が低下する恐れがある
     ・自社ブランドが認知されにくくなる
     ・ノウハウ・技術が流出する危険性がある

与件を活用する!
(設問1)
「現在、この有力販売先の一つである大手インテリア用品小売チェーンから、OEM製品の取引打診があり、先方から製品アイデアの提供を受けて製品化を進めようとしている
 →大手小売チェーンの製品アイデアを製品化に活用できる

「現在進めようとしている大手インテリア用品小売チェーンからのOEM製品受注が現実のものになると、年間で約1割程度の売り上げ増が見込まれている
 →OEM製品受注が現実のものになると、売り上げ増が見込まれる

「新製品開発情報は、各営業担当者がそれぞれ担当する販売先の小売店から消費者の嗜好、要望などを情報として入手し、製品開発・設計部門に提案している。このような新製品に関する多くの提案によって、積極的な新製品開発を進めており、その結果、現在の自社ブランド製品は」
 →消費者の嗜好、要望が直接入手できない。
 →C社独自の十分な新製品開発ができない可能性がある。
 →C社の自社ブランドイメージが希薄化する。
 ※ブランドにおけるOEMのデメリット⇒今回は解答に加えないこととした。

(設問2)
「毎月中旬に開かれる営業部門との製販会議で翌月の販売予測数量が提示され、生産計画では、それを参考に翌月の生産品目、生産順が決められている。生産計画作成後は、営業部門との定期的な情報交換は行われていない
 →生産計画作成後は、営業部門との定期的な情報交換は行われていない
   進捗管理を行い、営業部門との定期的な情報交換により納期回答を行う

日々の作業指示は第1工程の部品切断加工着手日を計画して指示するが、その後の工程の作業指示は特になく、現場対応で進められている生産着手から生産完了までのリードタイムは、最短のもので半月、最長のものでは1カ月半となっている。このため、注文の際に製品在庫が不足している場合には、納品までに1カ月以上顧客を待たせる事態も時には生じているが、幸いにも欠品により注文がキャンセルされる確率は低い」
 →着手日を指示するが、その後の工程の作業指示は特にない
   工程毎の作業指示を適切に行う
 →生産着手から生産完了までのリードタイムは、最短半月、最長1カ月半となっている
 →納品までに1カ月以上顧客を待たせる事態も時には生じている
   納期から遡って工程毎の作業完了日を把握する

「現在進めようとしている大手インテリア用品小売チェーンのOEM製品では、従来の見込生産とは違い、受注生産で一括納品する方向であり、受注後の納期の回答が求められる
 →OEM製品は、見込生産ではなく受注生産
 →一括納品、受注後の納期の回答が求められる

問題の階層を考える!
 OEM製品取引の課題や対応策
  →具体的な対策が聞かれたら生産・技術戦略レベル
  →ただし、OEM製品取引という新規事業も含むので経営戦略レベルに近いか?
 生産・技術事例の対応方法



以上から導き出した解答:
 (設問1)
  与件に書かれているメリットを要約しただけ
 (設問2)
  問題点は否定的な表現、課題は肯定的な表現
  対策は問題点の裏返し、できるだけ具体的に

(設問1)
メリットは、①大手小売チェーンの製品アイデア提供により、製品化を進めることができる点、②大手小売チェーンのOEM製品受注により、売り上げ増が見込まれる点である。80字


(設問2)C社の課題は、受注後の納期回答や一括納品が可能な受注生産体制を構築する事である。その対応策は、①工程毎の作業終了日を納期から正確に把握し作業指示を適切に行う。②工程毎の進捗管理を行い営業部門と定期的に情報交換することで納期回答の精度を高める。121字

※課題に「OEM生産で埋没しがちなC社のブランドイメージを維持すること」も浮かんだが生産・技術事例ということもあり、生産体制の構築を優先した。

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