2010年5月28日金曜日

事例問題にしがみつく方法(平成21年度 生産・技術 第2問)

 さて第2問目だ。生産・技術の事例では、生産工程や営業とのやり取りでダメダメ項目が必ず出てくる。基本的にこの項目は全て解決すると考えて良い。
 「~していない」、「~できていない」などのマイナス表現や「しかし」などの逆説表現があった部分は、どこかの設問で使用する。もし、解決していないダメダメ項目が残っている場合は、要求されている改善策を解答していないと考えて良いだろう。

第2問(配点40点)
 C社では、経営上大きな問題となっている過大な製品在庫および製品の欠品について改善を検討している。次の設問に答えよ。

(設問1)
 過大な製品在庫と製品の欠品が生じている理由を100字以内で述べよ

(設問2)
 製品の在庫問題を解決するために生産面で必要な対策を120字以内で述べよ

まず題意から考えよう!
リード文の題意:過大な製品在庫および製品の欠品についての経営上の問題を改善する。

(設問1)
題意:過大な製品在庫と製品の欠品が生じている理由を述べよ。
 解答の骨子
  例1:理由は~のためである。具体的には、
     ①(過大な製品在庫の理由)~のため、
     ②(製品の欠品発生の理由)~のため、である。
  例2:理由は、
     ①(過大な製品在庫の理由)~のため、
     ②(製品の欠品発生の理由)~のため、である。

(設問2)
題意:生産面で必要な対策を述べよ。
 解答の骨子
  例1:対策は~である。具体的には、
     ①(過大な製品在庫で必要な対策)、
     ②(製品の欠品発生で必要な対策)、である。
  例2:生産面で必要な対策は、
     ①(過大な製品在庫で必要な対策)、
     ②(製品の欠品発生で必要な対策)、である。

  ※例1は結論先出しの表現、このように表現するのが理想だが試験の時は難しい。
  ※具体的な事柄を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
   →今回は「~することで~(のため)である」という表現を使った。

次に制約条件を考える!
リード文の制約条件:①経営上の問題、②過大な製品在庫、③製品の欠品について考える。
  →①経営上の問題:経営革新を阻害し、経営基盤を不安定にする問題が存在するはず。
 設問を読んで仮説を立てる。
  →現在の財務基盤を悪化させるような問題の存在?
  →将来の新事業に悪影響を与える弱みの存在?

(設問1)
制約条件:①過大な製品在庫の理由、②製品の欠品発生の理由
 1次知識から理由を考えてみる。
  →①在庫が増える理由:需要予測の精度が低い、稼働率優先で製品を作りすぎる
  →②欠品が出る理由:在庫量、売れ筋・死に筋の把握ができていない

(設問2)
制約条件:①製品の在庫問題を解決するために、②生産面で必要な
 ①製品の在庫問題
  →過大な製品在庫、製品の欠品発生
 ②生産面で必要な
  →生産・技術の1次知識
    在庫を減らす対策:需要予測の精度向上、小ロット生産
    欠品を無くす対策:製品在庫の把握、現品管理、進度管理

与件を活用する!
「現在の自社ブランド製品は使用する木材の品種違い、塗装の色違いを含めて170アイテムと多くなっている。製品はカタログに掲載され、販売先や消費者に配布されているが、その中には出荷頻度および出荷数量が極端に少ない製品も見られる
 →木材や色の違いで製品アイテムが多い
 →出荷頻度、出荷数量が極端に少ない製品も見られる
 →製品アイテム数を減らすための「ワザワザ表現」
 ※この与件文をどこで使うか迷ったが、この設問で使うことにした

生産工程上のボトルネック工程は部品機械加工工程である。この工程における段取り作業回数を減らし稼働率を上げるために、生産ロットサイズは部品機械加工工程の1日で加工可能な数量にて決定されており、現在は約100~150個である。この生産ロットサイズは営業部門の月販売予測数をどの製品も上回っている。その結果、製品在庫は全体で月平均出荷量の2倍以上常に存在し、少しずつ増加している
 →ボトルネック工程は必ず改善する
 →在庫増の直接的な原因:生産ロットサイズが月販売予測数を上回っていること
 →なぜ生産ロットサイズを大きくしなければならないのか?
   ∵段取り作業の回数を減らし稼働率を上げたいから
 ⇒つまり段取り作業に問題があり、生産ロットサイズを大きくしないと稼働率が上がらない

しかし製品によっては欠品が発生し、販売先に即納できないこともしばしば生じている毎月後半になると、営業部門から欠品している製品の追加生産依頼があり、生産が不安定になる製造部門の責任者は生産計画の変更、それに伴う原材料の確保、各工程能力の調整、外注工場への生産依頼など、その日その日の調整作業に追われている
 →製品によっては欠品が発生している:製品在庫を把握しきれていない
 →製品アイテム数が多すぎてどの製品をどれだけ作れば良いかが把握できていない
 ※「営業への定期連絡」や「現場での作業指示」など考えられる表現は他にもあるが、ここでは「製品アイテム数を減らす」ことを表現したいので、製品在庫の把握という表現を採用することにした

「このような生産工程の状況下で、製造部門は、経営上問題となっている過大な製品在庫の削減、および製品の欠品問題の改善を経営者より指示され、対策に苦慮している

問題の階層を考える!
 問題点に対する理由やその対策
  →具体的な対策が聞かれたら生産・技術戦略レベル
 生産・技術事例の対応方法



以上から導き出した解答:
 (設問1)問題点の指摘は与件をそのまま書き出すイメージ
 (設問2)対策は問題点の裏返し、できるだけ具体的に

(設問1)
理由は、①稼働率を上げるために生産ロットサイズを販売予測数より大きく設定することで余分な在庫が発生するため、②製品アイテム数が多く販売数量の予測が困難であり、製品在庫の不足分を把握しづらいためである。100字


(設問2)
生産面で必要な対策は、①ボトルネック工程における段取り時間を短縮し小ロット生産が可能な体制を構築することで生産数量を適正化する。②木材や色の選別により出荷頻度・数量が少ない製品を縮小することで管理項目を単純化し販売数量の予測精度を高める。119字



 今回の解答は、与件と設問に素直な解答とは言えないかな?
 1次試験対策で学ぶ基本的なキーワードと中小企業白書で使われている表現、与件と設問の表現を活用して、読み手に「すーっ」と伝わる表現が理想形。
 テクニックとしては、①文末表現を揃えること、②因果関係を明確にすること、だろうか。

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