この設問からは、第1問で示した経営指標を悪くしている問題点を改善していく。第2問は、借入金の問題点が改善しそうだ。
第2問(配点20点)
近年の経済のグローバル化に伴って経営環境は不確実性を増している。D社の平成20年度の期首の投下総資本は4,907百万円であり、それに対する平成20年度の総資本営業利益率は9.7%であった。平成21年度の総資本営業利益率は前年並みになるか、もしくは景気が減速すれば-2.5%になると予想され、それぞれの状況が生起する確率は1/2と想定される。負債の平均資本コスト(負債総額に占める利息の割合)を4.9%とし、支払利息以外の営業外損益および特別損益はゼロと仮定して、次の設問に答えよ。
(設問1)
本社(土地及び建物)を売却しない場合、平成21年度の税引前自己資本利益率の期待値を求めよ(計算結果は%で解答し、小数第3位を四捨五入すること)。
(設問2)
本社(土地及び建物)を売却した場合、18億円のキャッシュフローが得られる。これを全額負債の返済に充当することを検討している。この場合、景気変動による税引前自己資本利益率のバラツキがどのように変化するかを100字以内で説明せよ。
まず題意から考えよう!
リード文の題意:次の設問に答えよ
題意:
(設問1)平成21年度の税引前自己資本利益率の期待値を求めよ
(設問2)税引前自己資本利益率のバラツキがどのように変化するか説明せよ
解答の骨子 (設問2)について
例:税引前自己資本利益率のバラつきは~に変化する。理由は~のためである。
※「税引前自己資本利益率のバラツキ」について、結論先出しで答える。
※具体的な理由を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
→「~により、~のためである」という表現を使う。
次に制約条件を考える!
リード文の制約条件:
①近年の経済のグローバル化に伴って経営環境は不確実性を増している
②平成20年度の期首の投下総資本:4,907百万円、総資本営業利益率:9.7%
③平成21年度の総資本営業利益率:前年並み or 景気が減速すれば-2.5%、確率:1/2
④負債の平均資本コスト:4.9%
⑤支払利息以外の営業外損益および特別損益:ゼロ
制約条件:
(設問1)計算結果は%で解答、小数第3位を四捨五入する
(設問2)本社(土地及び建物)を売却、18億円のキャッシュフロー、全額負債の返済に充当、景気変動
→本社の売却益を全額負債の返済
→金利負担の減少
解答へのアプローチ!
(設問1)
前年並み:営業利益=総資本5,012×総資本営業利益率9.7%=486.164
景気減速:営業利益=総資本5,012×総資本営業利益率-2.5%=-125.3
支払利息=負債総額3,731×負債の平均資本コスト4.9%=182.819
前年並み:税引前利益=営業利益486.164-支払利息182.819=303.345
景気減速:税引前利益=営業利益-125.3-支払利息182.819=-308.119
前年並み:税引前自己資本利益率=税引前利益303.345÷自己資本1,281=23.68%
景気減速:税引前自己資本利益率=税引前利益-308.119÷自己資本1,281=-24.05%
税引前自己資本利益率の期待値
=23.68%×1/2+(-24.05%)×1/2=11.84-12.03=-0.19%
→ムリ! 本試験では緊張しているし、間違える可能性大。
→(設問2)の文章問題だけは何とか得点しよう!
(設問2)
何言ってるかさっぱりわからん!こういった場合は、常識的な範囲内で解答を作ろう!
①基本的に問題点を解決するために、設問を解いているはずだ。
②そうした場合、負債が返済されると何かが改善されるはず。
③税引前自己資本利益率のバラツキは小さくなった方が改善された気がする。
じゃ、理由づけ
④負債返済により金利負担が減少する
⑤景気変動により売り上げ減少するも利益率の低下が抑えられる
→結論部分は「税引前自己資本利益率のバラツキは小さくなる。」で答えよう!
→理由部分は④と⑤をうまくまとめよう!
問題の階層を考える!
経営分析
→経営指標:自己資本比率(借入金)における問題点の解決
財務事例の対応方法
以上から導き出した解答:
(設問1)
-0.19(%)
(設問2)
税引前自己資本利益率のバラつきは小さくなる。理由は、本社の売却益を全額負債の返済に充当することにより、景気変動で売り上げが減少した場合でも金利負担が減少し、利益率の低下が抑えられるためである。96字
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