2010年2月4日木曜日

事例問題にしがみつく方法(平成21年度 マーケティング・流通 第1問)

 さて、マーケティング事例を始めよう。マーケティング事例は、自社の強みを顧客のニーズにうまく対応させて、競合と差別化を図ることが重要だ。試験委員である岩崎 邦彦先生の著書、「スモールビジネス・マーケティング」では中小小売業のコア基盤を次の3つに分けている。「目に見える資源」、「目に見えない資源」、「小規模特性」だ。具体的な内容は、以下の通りだ。

  コア基盤
  a. 「目に見える資源」…設備、人手、資金など
  b. 「目に見えない資源」…専門知識・独自の経験、ノウハウ・技術、顧客の信用・ブランド
  c. 「小規模特性」…真空地帯の対応力、変化対応力、地域密着力、対面販売力、個性化力

ここではさらに「目に見えない資源」と「小規模特性」を融合させることで持続的競争優位性が築かれると説明している。つまり中小小売業では、「目に見えない資源」と「小規模特性」を強みとして捉え、大手競合との差別化戦略を考えていくことになる。
 さて、それでは第1問から解いていくことにしよう。

第1問(配点20点)
 ショッピングセンター内の2つの競合店に対してB社の強みを活かした差別化戦略は、具体的にどのようなものか。80字以内で2つ答えよ。

まず題意から考えよう!
題意:B社の強みを活かした差別化戦略は、具体的にどのようなものか
 解答の骨子
  例1:B社の強みを活かした差別化戦略は、〜である。具体的には、競合店に対して〜である。
  例2:競合店に対するB社の差別化戦略は、〜である。
  ※80字なので、一文40字でニ文で答えるのが理想的だ。あまりに長い文だと読み難くなるので、短文で区切って記述する方が良い。
  ※今回は、主語の部分を長くしたので、一文で解答している。

次に制約条件を考える!
制約条件:ショッピングセンター内の2つの競合店に対して
 SC内には2つのスポーツ用品店があり、1つは大手チェーンのスポーツ用品店で、もう1つはファッション重視のスポーツ用品店である
 「大手チェーンのスポーツ用品店」と「ファッション重視のスポーツ用品店」に対する差別化戦略を考える。

与件を活用する!
B社の強み:
 「本店を含めいずれの店舗においても、地域の学校や団体との関係を深め、緻密な商品供給とサービスに力を入れてきた
 「従業員の顧客対応に関しても住民からの評判が良かった
2つの競合店の特徴
 「大手チェーンのスポーツ用品店は、各種スポーツのプロ志向の需要にも応えようとする品揃えをしている」
   →差別化:アマチュア志向の需要にも対応する
 「もう1つのスポーツ用品店は、若者向けスポーツカジュアルのファッションに重点を置いた品揃えを行っている」
   →差別化:高齢者に重点を置く

問題の階層を考える!
 強みについての設問→環境分析レベル
 環境分析・経営戦略レベルで必要な知識



以上から導き出した解答:
 題意:例2を使用
 差別化するなら2つの競合店の裏返しを考える
 顧客対応とくれば、提案営業でしょ。

大手スポーツ用品店に対するB社の差別化戦略は、地域の学校や団体との関係で培った緻密な商品供給とサービス力を活かして、アマチュア志向の需要にも対応することである。80字


ファッション重視のスポーツ用品店に対するB社の差別化戦略は、住民からの評判が良い従業員の顧客対応力という強みを活かして、高齢者等に対して提案販売をすることである。81字

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