2010年2月7日日曜日

事例問題にしがみつく方法(平成21年度 マーケティング・流通 第3問)

 第3問を解いてみよう。この問題は、はじめにリード文があり設問1と設問2に分かれている問題だ。こういう問題では、設問1を解いている間はリード文を意識しているが、設問2を解く段階になってリード文の存在を忘れてしまう危険性があるので注意しよう。設問の題意と制約条件を考える段階で、リード文の制約条件は、設問1と設問2に目立つように書き留めておくことがポイントだ。試験終了間際になると、リード文のことなんてすっ飛んでいるはずだ。忘れてはいけない部分は、余裕があるうちにあらかじめメモをとって目立つようにしておこう!

第3問(配点40点)
 B社は顧客の拡大と自社へのロイヤルティ(愛顧)を高めるために新しい事業を考えている。どのような事業が考えられるか
(設問1)
 B社は自社だけで行えるサービス事業を考えている。それはどのようなものか、120字以内で答えよ。
(設問2)
 B社は商店街の裏通りにある銭湯との共同事業を考えている。どのようなサービス事業が考えられるか、120字以内で答えよ。

まず題意から考えよう!
リード文の題意:B社の新しい事業にはどのような事業が考えられるか

(設問1)
題意:自社だけで行えるサービス事業はどのようなものか
 解答の骨子
  例1:サービス事業は〜である。具体的には、
     ①〜、
     ②〜、である。
  例2:B社が自社だけで行うサービス事業は、①〜、②〜である。

(設問2)
題意:銭湯と共同で行うサービス事業はどのようなものか
 解答の骨子
  例1:サービス事業は〜である。具体的には、
     ①〜、
     ②〜、である。
  例2:銭湯と共同で行うサービス事業は、①〜、②〜である。

  ※①と②の部分で具体的な事柄を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
   →「〜により、〜である」「〜のため、〜である」という表現を使う。

次に制約条件を考える!
リード文の制約条件:顧客の拡大と自社へのロイヤルティ(愛顧)を高めるために
  →設問1で「顧客の拡大」を設問2で「自社へのロイヤルティ(愛顧)を高める」を決めゼリフにしようと決める。

(設問1)
制約条件:B社は自社だけで行える
 解答の終わりの表現は、リード文の言葉を活用する。
  →〜をすることで、顧客の拡大を図る。
 B社だけで行えるサービス
  →B社のリソースを活用する。
   「目に見えない資源」…専門知識、ノウハウ・技術、顧客の信用など
   「小規模特性」…地域密着力、顧客対応力、対面販売力など
    モノ:本店裏にかつて倉庫と駐車場であった土地を保有
    ヒト:地域の学校や団体との関係性、従業員の顧客対応力

(設問2)
制約条件:銭湯との共同事業
 解答の終わりの表現は、リード文の言葉を活用する。
  →〜をすることで、自社へのロイヤルティ(愛顧)を高める。
 銭湯との共同事業でできるサービス
  →B社と銭湯のリソースを活用する。
  →B社が毎月発行するミニコミ誌やホームページ:情報提供のノウハウ
  →銭湯の社交場としての存在意義を忘れない。

与件を活用する!
第1問と第2問の解答を踏まえる。

(設問1)
ターゲット顧客を拡大する視点
 「なおB社は、本店裏にかつて倉庫と駐車場であった土地を保有しており、その再利用を考えている
   →再利用を考えているなら活用する方向で。
 「B社本店には、市内の草野球リーグやママさんバレーボールリーグの事務局が置かれ試合会場の手配などをB社はボランティアで引き受けている
   →試合会場の手配などはノウハウとして蓄積しているはず。
 「最近では、大学生を中心にフットサルの人気が高まり市内でリーグ戦ができるほどにチーム数も増えている
   →フットサルの練習やリーグ戦をできるようにしたら大学生の顧客が拡大しそうだ。
 「フットサル(futsal)は〜ジュニアから中高年、女性まで気軽に参加できるスポーツとして人気が出てきている
   →初心者向けのサービスも何かしたいよね。

(設問2)
ロイヤルティ(愛顧)を高める視点
 「ランナー達の悩みは、着替えとシャワーであるが、商店街の裏通りにある銭湯がランナー達のニーズに応えている
   →ランナー達の悩みに答える。着替えとシャワーは絶対必要!
 「また、夕方になると銭湯が社交場となって、グループ同士で近隣の居酒屋へ出掛けていく者たちも多い」
 「しかし、この銭湯は昔から人気があり、高齢者を中心に数多くの人々が利用してきた
   →「しかし」は重要語句
 「ランナー達がこの銭湯を利用することが増えるにつれ、銭湯が非常に混み合ってきている
   →混雑解消!新たな社交場をつくる必要があるよね。
 「そこで、この銭湯は何か事業ができないか模索している」

問題の階層を考える!
 顧客の拡大と自社へのロイヤルティ(愛顧)を高める
  →具体的な方策が聞かれたら、マーケティング戦略レベル
 マーケティング・流通事例の対応方法



以上から導き出した解答:
 設問1はフットサル、設問2はランナーについて記述する。

(設問1)
 自社だけで行えるサービス事業
 第1問、第2問の解答も踏まえよう!
  →本店裏の土地を再利用する
  →アマチュア志向の需要にも対応すること
  →ジュニアや女性の初心者向けサービス、大学生のリーグ戦等に対するサービス

自社だけで行うサービス事業は、本社裏の土地をピッチとして再利用したフットサル事業である。具体的には、①ジュニアや女性等の初心者に対してフットサル教室を開催し、②市内の大学生チームに練習の場やリーグ戦の会場を提供することで、顧客の拡大を図る。120字


(設問2)
 B社と銭湯との共同サービス事業
 第1問、第2問の解答も踏まえよう!
  →高齢者に対してのサービスも加えたい。
 何よりもランナーの悩み解消を考えよう!
  →着替えとシャワー設備は銭湯のノウハウを活用できる。
  →社交場としての機能はB社の情報提供のノウハウを活用できる。

銭湯と共同で行うサービス事業は、ランナー支援事業である。具体的には、①ランナーの悩みに答えるため、本社裏の土地に着替えとシャワーができる設備をつくり、②市民マラソンの情報発信や高齢者等との情報交換の場を提供することで、自社への愛顧を高める。120字

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