与件全文
D社は、資本金1億円、総資産約50億円、売上高約56億円、従業員80人の企業で、ファッション性の高いスポーツウエアの製造及び販売を行っている。本社を中核都市の駅前に構えており、生産はその郊外にある自社工場で行っている。D社は高い縫製加工技術による自社製品に定評を有しており、その技術力から国内大手のY社より有名ブランド品のOEM生産を受託している。主力製品はY社向けの有名ブランドスポーツウエアで、日本製の高品質・高機能が消費者に支持されており、海外での生産は行っていない。他方で自社ブランドを立ち上げ、最近では米国等への海外輸出も手がけている。
D社の取締役会では、各国の経済状況に伴う売上高の変動リスクが経営の課題として繰り返し議論されている。D社の主力製品は発注元のY社で販売されるが、先進国だけでなくアジア諸国でも順調に売上高を伸ばしている。しかし、スポーツウエアの売上高はもともと景気変動の影響を受けやすいため、特に成長市場であるアジア諸国での売上高変動は経営者にとっての関心事である。近年の経済のグローバル化に伴う影響がD社にとっての経営上の大きなリスクとなっている。
D社の本社は創業当時より現所在地にあるが、事業の拡大に伴って手狭になったため隣地の中古不動産を買い増ししてきた。本社社屋の減価償却後の簿価は7億円である。本社社屋の一部は老朽化しており、建て替えも検討しなければならない時期を迎えている。一方で駅前の再開発事業も進んでおり、本社付近も一体開発される可能性がある。
D社では、本社(土地及び建物)を平成21年度期首に売却してオフィスを賃借すると同時に、本社の管理業務の一部をアウトソーシングすることを検討している。本社を売却した場合、18億円の手取りのキャッシュフローが得られるので、これを全額負債の返済に充当する。オフィスの賃借料は年4,500万円であると推定される。また、本社の管理業務の一部を年間委託費6,000万円(固定費)でアウトソーシングすることによって、従来発生していた販売費及び一般管理費(減価償却費を含む)のうち3億円を削減することが可能である。
平成20年度のD社の財務諸表及び同業他社の財務諸表は次のとおりである。
(単位:百万円、数字は「D社/同業他社」)
貸借対照表
資産の部
流動資産 2,659/2,645
現金・預金 631/510
受取手形・売掛金 961/969
有価証券 153/142
棚卸資産 789/836
その他流動資産 125/188
固定資産 2,353/1,640
土地 1,034/567
建物・機械装置 1,086/539
その他有形固定資産 21/6
投資有価証券 212/528
資産合計 5,012/4,285
負債の部
流動負債 1,938/1,834
支払手形・買掛金 924/839
短期借入金 663/785
その他流動負債 351/210
固定負債 1,793/1,189
長期借入金 1,626/1,103
その他固定負債 167/86
負債合計 3,731/3,023
純資産の部
資本金 100/72
利益準備金 25/18
別途積立金 1,075/1,112
繰越利益剰余金 81/60
純資産合計 1,281/1,262
負債・純資産合計 5,012/4,285
減価償却費 365/350
損益計算書
売上高 5,611/5,039
売上原価 4,204/3,985
売上総利益 1,407/1,054
販売費・一般管理費 931/853
営業利益 476/201
営業外収益 3/12
営業外費用 208/122
経常利益 271/91
特別利益 0/39
特別損失 0/41
税引前当期純利益 271/89
法人税等 108/36
当期純利益 163/53
従業員数 80/75
第1問(配点40点)
D社の平成20年度の財務諸表を用いて経営分析を行い、この企業の財務上の長所・短所のうち重要と思われるものを3つ取り上げ、その各々について、長所・短所の根拠を最も的確に示す経営指標を1つだけあげて、その名称を(a)欄に示し、経営指標値を計算(小数第3位を四捨五入すること)して(b)欄に示した上で、その長所・短所が生じた原因をD社のこれまでの経営状況に照らして(c)欄に60字以内で説明せよ。
第2問(配点20点)
近年の経済のグローバル化に伴って経営環境は不確実性を増している。D社の平成20年度の期首の投下総資本は4,907百万円であり、それに対する平成20年度の総資本営業利益率は9.7%であった。平成21年度の総資本営業利益率は前年並みになるか、もしくは景気が減速すれば-2.5%になると予想され、それぞれの状況が生起する確率は1/2と想定される。負債の平均資本コスト(負債総額に占める利息の割合)を4.9%とし、支払利息以外の営業外損益および特別損益はゼロと仮定して、次の設問に答えよ。
(設問1)
本社(土地及び建物)を売却しない場合、平成21年度の税引前自己資本利益率の期待値を求めよ(計算結果は%で解答し、小数第3位を四捨五入すること)。
(設問2)
本社(土地及び建物)を売却した場合、18億円のキャッシュフローが得られる。これを全額負債の返済に充当することを検討している。この場合、景気変動による税引前自己資本利益率のバラツキがどのように変化するかを100字以内で説明せよ。
第3問(配点20点)
D社では、売上高と利益の関係を把握するため、経常利益ベースでの損益分岐点分析によるシミューションを開始した。平成20年度の売上原価に占める固定費は1,598百万円である。推計によると、平成21年度に景気が減速した場合、20%程度の売上高減少が見込まれることがわかった。
また、本社(土地及び建物)を売却しない場合の平成21年度の固定費および営業外損益は平成20年度と同額とする。
なお、金利を8%とし、販売費及び一般管理費、営業外損益はすべて固定費とする。
(設問1)
D社の平成20年度の損益分岐点売上高を求め、(a)欄に記入せよ。
また、本社を売却しない場合について、平成21年度の売上高が平成20年度より20%減少したときに予想される経常利益を求め、(b)欄に記入せよ。
なお、計算結果は百万円単位で解答し、百万円未満を四捨五入すること。
(設問2)
本社を売却した場合の平成21年度の損益分岐点売上高を求め、(a)欄に記入せよ(計算結果は百万円単位で解答し、百万円未満を四捨五入すること)。
また、この結果、営業レバレッジがどのように変化し、その変化がD社の業績にどのような影響を与えるかを、財務・会計の観点から100字以内で(b)欄に説明せよ。
第4問(配点20点)
D社は、Y社への売り上げは円建てで支払いを受けているが、海外に輸出する自社製品の支払いは上期末と下期末の2回に分けて米ドルで受け取っている。この為替リスクをヘッジするため、D社は、通常、各半期の期首に予想売上高分の為替予約を行っている。平成21年度上期分は1ドル100円で500万ドルの為替予約(ドルの売り建て)を行った。
(設問1)
平成21年度の上期の売上高は、予想を下回り430万ドルであった。上期末の為替のスポットレートは102円であった。この場合の為替による損益を求めよ(単位:万円)。
(設問2)
D社では、オプションを用いて為替リスクをヘッジすることも検討している。1ドル100円で決済するためには、どのようなオプションを用いるべきか、50字以内で(a)欄に説明せよ。
また、オプションを用いた場合の長所と短所を100字以内で(b)欄に説明せよ。
2010年6月16日水曜日
事例問題にしがみつく方法(平成21年度 財務 第4問)
第4問は、第1問で示した経営指標のうち、利益率に着目している問題だ。D社は米国等への海外輸出も手がけ高収益性を長所としているが、為替変動による売上高の変動リスクが経営の課題になっている。このリスクを低減させることが本設問の目的だ。
第4問(配点20点)
D社は、Y社への売り上げは円建てで支払いを受けているが、海外に輸出する自社製品の支払いは上期末と下期末の2回に分けて米ドルで受け取っている。この為替リスクをヘッジするため、D社は、通常、各半期の期首に予想売上高分の為替予約を行っている。平成21年度上期分は1ドル100円で500万ドルの為替予約(ドルの売り建て)を行った。
(設問1)
平成21年度の上期の売上高は、予想を下回り430万ドルであった。上期末の為替のスポットレートは102円であった。この場合の為替による損益を求めよ(単位:万円)。
(設問2)
D社では、オプションを用いて為替リスクをヘッジすることも検討している。1ドル100円で決済するためには、どのようなオプションを用いるべきか、50字以内で(a)欄に説明せよ。
また、オプションを用いた場合の長所と短所を100字以内で(b)欄に説明せよ。
まず題意から考えよう!
題意:
(設問1)
為替による損益を求めよ
(設問2)
(a)どのようなオプションを用いるべきか説明せよ
(b)オプションを用いた場合の長所と短所を説明せよ
解答の骨子 (設問2)について
(a)例:D社は、~のようなオプションを用いるべきである。
※50字なので1文で記述する。
→要約力を強化しよう!
(b)例:オプションを用いた場合の長所は、~である。短所は、~である。
※具体的な理由を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
→ここでは「~することで、~の点である」という表現を使った。
次に制約条件を考える!
リード文の制約条件:
①海外に輸出する自社製品の支払い
上期末と下期末の2回に分けて米ドルで受け取っている
②この為替リスクをヘッジするため
各半期の期首に予想売上高分の為替予約
平成21年度上期分は1ドル100円で500万ドルの為替予約(ドルの売り建て)
制約条件:
(設問1)
①平成21年度の上期の売上高は、予想を下回り430万ドル
②上期末の為替のスポットレートは102円
③単位:万円
(設問2)
(a)(b)オプションを用いて為替リスクをヘッジする
(a)1ドル100円で決済するため
解答へのアプローチ!
(設問1)
平成21年度上期分は1ドル100円で500万ドルの為替予約
実際の売上高430万ドル⇒70万ドルが不足
上期の為替レートは1ドル102円、このレートで70万ドル調達する
70万×102円=7,140万円
この70万ドルを為替予約レート1ドル100円で売ることになる
70万×100円=7,000万円
差し引き140万円の為替差損となる
(設問2)
前提知識:過去問まとめ資料より(平成13年 第3問 設問2)
コールオプション:買い手に対して「買う」権利を与えるもの
プットオプション:買い手に対して「売る」権利を与えるもの
アメリカンタイプ:権利行使期間内の営業日であればいつでも権利行使が可能
ヨーロピアンタイプ:約定の権利行使日(確定日)にのみ権利行使が可能
輸入業者:外国通貨のコールオプションを購入する。
→円高:権利放棄、円安:権利行使
輸出業者:外国通貨のプットオプションを購入する。
→円高:権利行使、円安:権利放棄
(a)
D社は輸出業者
→外国通貨のプットオプションを購入する
→外国通貨は米ドル
→1ドル100円で決済する(制約条件より)
(b)
D社は輸出業者
→円高:権利行使、円安:権利放棄
→円高:権利行使
利益は「円高による為替差益-オプションの購入料」⇒利益減少:短所
→円安:権利放棄
損失は「オプションの購入料のみ」⇒円安による為替差損の回避:長所
問題の階層を考える!
経営分析
→経営指標:売上高総利益(利益率)、為替差損による収益減少リスクの低減
財務事例の対応方法
以上から導き出した解答:
今回で財務事例は、終了だ。やはり経営分析でいかに得点が得られるかが、合格の成否を握ると感じた。経営分析は毎年必ず出題されており、傾向も大体同じだ。過去問を繰返し解くことで、経営指標の選択方法や経営分析独特の言い回しを覚えていくといいだろう。
第4問(配点20点)
D社は、Y社への売り上げは円建てで支払いを受けているが、海外に輸出する自社製品の支払いは上期末と下期末の2回に分けて米ドルで受け取っている。この為替リスクをヘッジするため、D社は、通常、各半期の期首に予想売上高分の為替予約を行っている。平成21年度上期分は1ドル100円で500万ドルの為替予約(ドルの売り建て)を行った。
(設問1)
平成21年度の上期の売上高は、予想を下回り430万ドルであった。上期末の為替のスポットレートは102円であった。この場合の為替による損益を求めよ(単位:万円)。
(設問2)
D社では、オプションを用いて為替リスクをヘッジすることも検討している。1ドル100円で決済するためには、どのようなオプションを用いるべきか、50字以内で(a)欄に説明せよ。
また、オプションを用いた場合の長所と短所を100字以内で(b)欄に説明せよ。
まず題意から考えよう!
題意:
(設問1)
為替による損益を求めよ
(設問2)
(a)どのようなオプションを用いるべきか説明せよ
(b)オプションを用いた場合の長所と短所を説明せよ
解答の骨子 (設問2)について
(a)例:D社は、~のようなオプションを用いるべきである。
※50字なので1文で記述する。
→要約力を強化しよう!
(b)例:オプションを用いた場合の長所は、~である。短所は、~である。
※具体的な理由を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
→ここでは「~することで、~の点である」という表現を使った。
次に制約条件を考える!
リード文の制約条件:
①海外に輸出する自社製品の支払い
上期末と下期末の2回に分けて米ドルで受け取っている
②この為替リスクをヘッジするため
各半期の期首に予想売上高分の為替予約
平成21年度上期分は1ドル100円で500万ドルの為替予約(ドルの売り建て)
制約条件:
(設問1)
①平成21年度の上期の売上高は、予想を下回り430万ドル
②上期末の為替のスポットレートは102円
③単位:万円
(設問2)
(a)(b)オプションを用いて為替リスクをヘッジする
(a)1ドル100円で決済するため
解答へのアプローチ!
(設問1)
平成21年度上期分は1ドル100円で500万ドルの為替予約
実際の売上高430万ドル⇒70万ドルが不足
上期の為替レートは1ドル102円、このレートで70万ドル調達する
70万×102円=7,140万円
この70万ドルを為替予約レート1ドル100円で売ることになる
70万×100円=7,000万円
差し引き140万円の為替差損となる
(設問2)
前提知識:過去問まとめ資料より(平成13年 第3問 設問2)
コールオプション:買い手に対して「買う」権利を与えるもの
プットオプション:買い手に対して「売る」権利を与えるもの
アメリカンタイプ:権利行使期間内の営業日であればいつでも権利行使が可能
ヨーロピアンタイプ:約定の権利行使日(確定日)にのみ権利行使が可能
輸入業者:外国通貨のコールオプションを購入する。
→円高:権利放棄、円安:権利行使
輸出業者:外国通貨のプットオプションを購入する。
→円高:権利行使、円安:権利放棄
(a)
D社は輸出業者
→外国通貨のプットオプションを購入する
→外国通貨は米ドル
→1ドル100円で決済する(制約条件より)
(b)
D社は輸出業者
→円高:権利行使、円安:権利放棄
→円高:権利行使
利益は「円高による為替差益-オプションの購入料」⇒利益減少:短所
→円安:権利放棄
損失は「オプションの購入料のみ」⇒円安による為替差損の回避:長所
問題の階層を考える!
経営分析
→経営指標:売上高総利益(利益率)、為替差損による収益減少リスクの低減
財務事例の対応方法
以上から導き出した解答:
(設問1)
-140(万円)
(設問2)
(a)D社は為替リスクをヘッジするため、1ドル100円で決済できる米ドルのプットオプションを用いるべきである。51字
(b)オプションを用いた場合の長所は、円安になった場合、権利放棄することで損失がオプション料分だけに抑制できる点である。短所は、円高になった場合、権利行使をすることでオプション料分の利益が減少する点である。100字
今回で財務事例は、終了だ。やはり経営分析でいかに得点が得られるかが、合格の成否を握ると感じた。経営分析は毎年必ず出題されており、傾向も大体同じだ。過去問を繰返し解くことで、経営指標の選択方法や経営分析独特の言い回しを覚えていくといいだろう。
2010年6月14日月曜日
事例問題にしがみつく方法(平成21年度 財務 第3問)
第3問は、第1問で示した経営指標のうち、有形固定資産(固定費)について改善する問題だ。
第3問(配点20点)
D社では、売上高と利益の関係を把握するため、経常利益ベースでの損益分岐点分析によるシミューションを開始した。平成20年度の売上原価に占める固定費は1,598百万円である。推計によると、平成21年度に景気が減速した場合、20%程度の売上高減少が見込まれることがわかった。
また、本社(土地及び建物)を売却しない場合の平成21年度の固定費および営業外損益は平成20年度と同額とする。
なお、金利を8%とし、販売費及び一般管理費、営業外損益はすべて固定費とする。
(設問1)
D社の平成20年度の損益分岐点売上高を求め、(a)欄に記入せよ。
また、本社を売却しない場合について、平成21年度の売上高が平成20年度より20%減少したときに予想される経常利益を求め、(b)欄に記入せよ。
なお、計算結果は百万円単位で解答し、百万円未満を四捨五入すること。
(設問2)
本社を売却した場合の平成21年度の損益分岐点売上高を求め、(a)欄に記入せよ(計算結果は百万円単位で解答し、百万円未満を四捨五入すること)。
また、この結果、営業レバレッジがどのように変化し、その変化がD社の業績にどのような影響を与えるかを、財務・会計の観点から100字以内で(b)欄に説明せよ。
まず題意から考えよう!
題意:
(設問1) 本社を売却しない場合
(a)平成20年度の損益分岐点売上高を求めよ
(b)平成21年度の予想される経常利益を求めよ
(設問2) 本社を売却した場合
(a)平成21年度の損益分岐点売上高を求めよ
(b)営業レバレッジがどのように変化し、その変化がどのような影響を与えるか説明せよ
解答の骨子 (設問2)(b)について
例1:営業レバレッジは、~のように変化する。
その変化は、D社の業績に~のような影響を与える。
例2:営業レバレッジは、~のように変化する。
D社の業績に与える影響は、~である。
※具体的な理由を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
→「~により、~である」「~のため、~である」という表現を使う。
次に制約条件を考える!
リード文の制約条件:
①平成20年度の売上原価に占める固定費は1,598百万円
②平成21年度に景気が減速した場合、20%程度の売上高減少が見込まれる
③本社を売却しない場合
平成21年度の固定費および営業外損益は平成20年度と同額
④金利8%
⑤販売費及び一般管理費、営業外損益はすべて固定費
制約条件:
(設問1) 本社を売却しない場合
(a)(b)計算結果は百万円単位で解答、百万円未満を四捨五入
(b)平成21年度の売上高が平成20年度より20%減少
(設問2) 本社を売却した場合
(a)(b)計算結果は百万円単位で解答、百万円未満を四捨五入
(b)営業レバレッジ、D社の業績、財務・会計の観点から説明する
→営業レバレッジ:大きくなる、小さくなる等の変化をはじめに書く
→D社の業績:本社売却と売上高20%減少による影響を書く
解答へのアプローチ!
(設問1)本社を売却しない場合
(a)平成20年度
売上高:5,611
売上原価:4,204(固定費:1,598、変動費:4,204-1,598=2,606)
販管費:931(固定費:931)
営業外収益:3
営業外費用:208(固定費:205)
変動費:2,606、固定費:2,734、限界利益:5,611-2,606=3,005
限界利益率:3,005/5,611
損益分岐点売上高=固定費/限界利益率
=2,734/(3,005/5,611)=2,734×5,611÷3,005=5,105
(b)平成21年度
売上高:5,611×(1-0.2)=4,488.8
変動費:2,606×(1-0.2)=2,084.8
固定費:2,734
経常利益:4,488.8-2,084.8-2,734=-330
→設問1はサービス問題。絶対にゲットすべし!
(設問2)
(a)平成21年度
売上高:4,488.8
変動費:2,084.8
固定費:2,395※
限界利益:4,488.8-2,084.8=2,404
限界利益率:2,404/4,488.8→変化なし
損益分岐点売上高=固定費/限界利益率
=2,395/(2,404/4,488.8)=2,395×4,488.8÷2,404=4,472
※固定費 2,395百万円
本社の売却益:18億円(1,800百万円)
金利分 借入金1,800×金利8%=144百万円
∴営業外費用=208-144=64百万円
オフィスの賃貸料=年4,500万円(45百万円)増加
本社の年間委託費=6,000万円(60百万円)増加
販売費・一般管理費=3億円(300百万円)削減
∴販売費・一般管理費=931+45+60-300=736百万円
固定費=売上原価に占める固定費1,598+販売費・一般管理費736
+営業外費用64-営業外収益3=2,395百万円
経常利益:4,488.8-2,084.8-2,395=9(黒字)
→固定費計算で間違える可能性大!設問2の解答は具体的な数値は書かないことにしよう!
→ただし借入金利と販管費の減少により固定費は減少することは分かる
(b)
前提知識:過去問まとめ資料より(平成15年 第2問 設問2)
企業収益の不確実性、変動制をもたらす要因
→①企業の費用構造の差(ビジネスリスク)
→②負債による資金調達から生じる固定的な利子支払い(財務リスク)
営業レバレッジ
→変動費、固定費の費用構造の差によって、売上変化が利益変化に影響を与えること
→変動比率の低下
(材料費、外注費、荷造運賃費、仕入原価 等)
→固定費総額の抑制
(人件費、減価償却費、経費、金融費用 等)
設問1の損益分岐点売上高の計算結果から考察できることは?
→本社を売却した場合、借入金利や販管費などの固定費が減少する
→固定費が減少すると、損益分岐点売上高は低下する
→損益分岐点売上高が低下すると、売上げが低下しても利益を確保しやすくなる
営業レバレッジの変化は?
→固定費の減少により営業レバレッジは低下する
その変化が与える影響は?
→営業レバレッジが低下すると売上変化に対する利益変化の割合が小さくなる
→景気の減速で売上高が減少しても利益に与える影響が小さくなり、D社の業績低下を抑制できる
問題の階層を考える!
経営分析
→経営指標:有形固定資産回転率(固定費)における問題点の解決
財務事例の対応方法
以上から導き出した解答:
解説の途中で出てきた「過去問まとめ」資料は、平成13年度~平成18年度までの過去問をまとめた資料だ。受験生時代は、今ここで紹介している題意や制約条件、切り口などを各設問ごとにエクセルでまとめて繰返し解いていた。
第3問(配点20点)
D社では、売上高と利益の関係を把握するため、経常利益ベースでの損益分岐点分析によるシミューションを開始した。平成20年度の売上原価に占める固定費は1,598百万円である。推計によると、平成21年度に景気が減速した場合、20%程度の売上高減少が見込まれることがわかった。
また、本社(土地及び建物)を売却しない場合の平成21年度の固定費および営業外損益は平成20年度と同額とする。
なお、金利を8%とし、販売費及び一般管理費、営業外損益はすべて固定費とする。
(設問1)
D社の平成20年度の損益分岐点売上高を求め、(a)欄に記入せよ。
また、本社を売却しない場合について、平成21年度の売上高が平成20年度より20%減少したときに予想される経常利益を求め、(b)欄に記入せよ。
なお、計算結果は百万円単位で解答し、百万円未満を四捨五入すること。
(設問2)
本社を売却した場合の平成21年度の損益分岐点売上高を求め、(a)欄に記入せよ(計算結果は百万円単位で解答し、百万円未満を四捨五入すること)。
また、この結果、営業レバレッジがどのように変化し、その変化がD社の業績にどのような影響を与えるかを、財務・会計の観点から100字以内で(b)欄に説明せよ。
まず題意から考えよう!
題意:
(設問1) 本社を売却しない場合
(a)平成20年度の損益分岐点売上高を求めよ
(b)平成21年度の予想される経常利益を求めよ
(設問2) 本社を売却した場合
(a)平成21年度の損益分岐点売上高を求めよ
(b)営業レバレッジがどのように変化し、その変化がどのような影響を与えるか説明せよ
解答の骨子 (設問2)(b)について
例1:営業レバレッジは、~のように変化する。
その変化は、D社の業績に~のような影響を与える。
例2:営業レバレッジは、~のように変化する。
D社の業績に与える影響は、~である。
※具体的な理由を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
→「~により、~である」「~のため、~である」という表現を使う。
次に制約条件を考える!
リード文の制約条件:
①平成20年度の売上原価に占める固定費は1,598百万円
②平成21年度に景気が減速した場合、20%程度の売上高減少が見込まれる
③本社を売却しない場合
平成21年度の固定費および営業外損益は平成20年度と同額
④金利8%
⑤販売費及び一般管理費、営業外損益はすべて固定費
制約条件:
(設問1) 本社を売却しない場合
(a)(b)計算結果は百万円単位で解答、百万円未満を四捨五入
(b)平成21年度の売上高が平成20年度より20%減少
(設問2) 本社を売却した場合
(a)(b)計算結果は百万円単位で解答、百万円未満を四捨五入
(b)営業レバレッジ、D社の業績、財務・会計の観点から説明する
→営業レバレッジ:大きくなる、小さくなる等の変化をはじめに書く
→D社の業績:本社売却と売上高20%減少による影響を書く
解答へのアプローチ!
(設問1)本社を売却しない場合
(a)平成20年度
売上高:5,611
売上原価:4,204(固定費:1,598、変動費:4,204-1,598=2,606)
販管費:931(固定費:931)
営業外収益:3
営業外費用:208(固定費:205)
変動費:2,606、固定費:2,734、限界利益:5,611-2,606=3,005
限界利益率:3,005/5,611
損益分岐点売上高=固定費/限界利益率
=2,734/(3,005/5,611)=2,734×5,611÷3,005=5,105
(b)平成21年度
売上高:5,611×(1-0.2)=4,488.8
変動費:2,606×(1-0.2)=2,084.8
固定費:2,734
経常利益:4,488.8-2,084.8-2,734=-330
→設問1はサービス問題。絶対にゲットすべし!
(設問2)
(a)平成21年度
売上高:4,488.8
変動費:2,084.8
固定費:2,395※
限界利益:4,488.8-2,084.8=2,404
限界利益率:2,404/4,488.8→変化なし
損益分岐点売上高=固定費/限界利益率
=2,395/(2,404/4,488.8)=2,395×4,488.8÷2,404=4,472
※固定費 2,395百万円
本社の売却益:18億円(1,800百万円)
金利分 借入金1,800×金利8%=144百万円
∴営業外費用=208-144=64百万円
オフィスの賃貸料=年4,500万円(45百万円)増加
本社の年間委託費=6,000万円(60百万円)増加
販売費・一般管理費=3億円(300百万円)削減
∴販売費・一般管理費=931+45+60-300=736百万円
固定費=売上原価に占める固定費1,598+販売費・一般管理費736
+営業外費用64-営業外収益3=2,395百万円
経常利益:4,488.8-2,084.8-2,395=9(黒字)
→固定費計算で間違える可能性大!設問2の解答は具体的な数値は書かないことにしよう!
→ただし借入金利と販管費の減少により固定費は減少することは分かる
(b)
前提知識:過去問まとめ資料より(平成15年 第2問 設問2)
企業収益の不確実性、変動制をもたらす要因
→①企業の費用構造の差(ビジネスリスク)
→②負債による資金調達から生じる固定的な利子支払い(財務リスク)
営業レバレッジ
→変動費、固定費の費用構造の差によって、売上変化が利益変化に影響を与えること
→変動比率の低下
(材料費、外注費、荷造運賃費、仕入原価 等)
→固定費総額の抑制
(人件費、減価償却費、経費、金融費用 等)
設問1の損益分岐点売上高の計算結果から考察できることは?
→本社を売却した場合、借入金利や販管費などの固定費が減少する
→固定費が減少すると、損益分岐点売上高は低下する
→損益分岐点売上高が低下すると、売上げが低下しても利益を確保しやすくなる
営業レバレッジの変化は?
→固定費の減少により営業レバレッジは低下する
その変化が与える影響は?
→営業レバレッジが低下すると売上変化に対する利益変化の割合が小さくなる
→景気の減速で売上高が減少しても利益に与える影響が小さくなり、D社の業績低下を抑制できる
参考 意思決定会計講義ノートより
意思決定会計講義ノートのp.13には、経営レバレッジ係数の求め方が紹介されている。
売上高(営業量)が1単位変動した時に営業利益がどれだけ変動するかを示す指標が経営レバレッジである。売上高の変動以上に営業利益が変動するのは製造・販売コストに固定費が存在するからである。固定費の割合が大きければ大きいほど経営レバレッジは大きくなる。経営レバレッジ係数は次の式で求められる。
経営レバレッジ係数=営業利益の変化率/売上高の変化率
=(営業利益の変動/営業利益)/(売上高の変動/売上高)
=限界利益/営業利益
確かめてみるとわかるが、売上高が損益分岐点売上高に近づけば近づくほど経営レバレッジ係数は大きくなる。
問題の階層を考える!
経営分析
→経営指標:有形固定資産回転率(固定費)における問題点の解決
財務事例の対応方法
以上から導き出した解答:
(設問1)
(a)5,105(百万円)
(b)-330(百万円)
(設問2)
(a)4,472 百万円
(b)固定費の減少により営業レバレッジは低下する。営業レバレッジが低下すると売上変化に対する利益変化が小さくなるため、景気の減速で売上高が減少しても利益に与える影響が小さくなり、D社の業績低下を抑制できる。100字
解説の途中で出てきた「過去問まとめ」資料は、平成13年度~平成18年度までの過去問をまとめた資料だ。受験生時代は、今ここで紹介している題意や制約条件、切り口などを各設問ごとにエクセルでまとめて繰返し解いていた。
2010年6月11日金曜日
事例問題にしがみつく方法(平成21年度 財務 第2問)
さて、第2問を解いてみよう!
この設問からは、第1問で示した経営指標を悪くしている問題点を改善していく。第2問は、借入金の問題点が改善しそうだ。
第2問(配点20点)
近年の経済のグローバル化に伴って経営環境は不確実性を増している。D社の平成20年度の期首の投下総資本は4,907百万円であり、それに対する平成20年度の総資本営業利益率は9.7%であった。平成21年度の総資本営業利益率は前年並みになるか、もしくは景気が減速すれば-2.5%になると予想され、それぞれの状況が生起する確率は1/2と想定される。負債の平均資本コスト(負債総額に占める利息の割合)を4.9%とし、支払利息以外の営業外損益および特別損益はゼロと仮定して、次の設問に答えよ。
(設問1)
本社(土地及び建物)を売却しない場合、平成21年度の税引前自己資本利益率の期待値を求めよ(計算結果は%で解答し、小数第3位を四捨五入すること)。
(設問2)
本社(土地及び建物)を売却した場合、18億円のキャッシュフローが得られる。これを全額負債の返済に充当することを検討している。この場合、景気変動による税引前自己資本利益率のバラツキがどのように変化するかを100字以内で説明せよ。
まず題意から考えよう!
リード文の題意:次の設問に答えよ
題意:
(設問1)平成21年度の税引前自己資本利益率の期待値を求めよ
(設問2)税引前自己資本利益率のバラツキがどのように変化するか説明せよ
解答の骨子 (設問2)について
例:税引前自己資本利益率のバラつきは~に変化する。理由は~のためである。
※「税引前自己資本利益率のバラツキ」について、結論先出しで答える。
※具体的な理由を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
→「~により、~のためである」という表現を使う。
次に制約条件を考える!
リード文の制約条件:
①近年の経済のグローバル化に伴って経営環境は不確実性を増している
②平成20年度の期首の投下総資本:4,907百万円、総資本営業利益率:9.7%
③平成21年度の総資本営業利益率:前年並み or 景気が減速すれば-2.5%、確率:1/2
④負債の平均資本コスト:4.9%
⑤支払利息以外の営業外損益および特別損益:ゼロ
制約条件:
(設問1)計算結果は%で解答、小数第3位を四捨五入する
(設問2)本社(土地及び建物)を売却、18億円のキャッシュフロー、全額負債の返済に充当、景気変動
→本社の売却益を全額負債の返済
→金利負担の減少
解答へのアプローチ!
(設問1)
前年並み:営業利益=総資本5,012×総資本営業利益率9.7%=486.164
景気減速:営業利益=総資本5,012×総資本営業利益率-2.5%=-125.3
支払利息=負債総額3,731×負債の平均資本コスト4.9%=182.819
前年並み:税引前利益=営業利益486.164-支払利息182.819=303.345
景気減速:税引前利益=営業利益-125.3-支払利息182.819=-308.119
前年並み:税引前自己資本利益率=税引前利益303.345÷自己資本1,281=23.68%
景気減速:税引前自己資本利益率=税引前利益-308.119÷自己資本1,281=-24.05%
税引前自己資本利益率の期待値
=23.68%×1/2+(-24.05%)×1/2=11.84-12.03=-0.19%
→ムリ! 本試験では緊張しているし、間違える可能性大。
→(設問2)の文章問題だけは何とか得点しよう!
(設問2)
何言ってるかさっぱりわからん!こういった場合は、常識的な範囲内で解答を作ろう!
①基本的に問題点を解決するために、設問を解いているはずだ。
②そうした場合、負債が返済されると何かが改善されるはず。
③税引前自己資本利益率のバラツキは小さくなった方が改善された気がする。
じゃ、理由づけ
④負債返済により金利負担が減少する
⑤景気変動により売り上げ減少するも利益率の低下が抑えられる
→結論部分は「税引前自己資本利益率のバラツキは小さくなる。」で答えよう!
→理由部分は④と⑤をうまくまとめよう!
問題の階層を考える!
経営分析
→経営指標:自己資本比率(借入金)における問題点の解決
財務事例の対応方法
以上から導き出した解答:
この設問からは、第1問で示した経営指標を悪くしている問題点を改善していく。第2問は、借入金の問題点が改善しそうだ。
第2問(配点20点)
近年の経済のグローバル化に伴って経営環境は不確実性を増している。D社の平成20年度の期首の投下総資本は4,907百万円であり、それに対する平成20年度の総資本営業利益率は9.7%であった。平成21年度の総資本営業利益率は前年並みになるか、もしくは景気が減速すれば-2.5%になると予想され、それぞれの状況が生起する確率は1/2と想定される。負債の平均資本コスト(負債総額に占める利息の割合)を4.9%とし、支払利息以外の営業外損益および特別損益はゼロと仮定して、次の設問に答えよ。
(設問1)
本社(土地及び建物)を売却しない場合、平成21年度の税引前自己資本利益率の期待値を求めよ(計算結果は%で解答し、小数第3位を四捨五入すること)。
(設問2)
本社(土地及び建物)を売却した場合、18億円のキャッシュフローが得られる。これを全額負債の返済に充当することを検討している。この場合、景気変動による税引前自己資本利益率のバラツキがどのように変化するかを100字以内で説明せよ。
まず題意から考えよう!
リード文の題意:次の設問に答えよ
題意:
(設問1)平成21年度の税引前自己資本利益率の期待値を求めよ
(設問2)税引前自己資本利益率のバラツキがどのように変化するか説明せよ
解答の骨子 (設問2)について
例:税引前自己資本利益率のバラつきは~に変化する。理由は~のためである。
※「税引前自己資本利益率のバラツキ」について、結論先出しで答える。
※具体的な理由を述べるときは、因果関係に注意して書くようにする。
→「~により、~のためである」という表現を使う。
次に制約条件を考える!
リード文の制約条件:
①近年の経済のグローバル化に伴って経営環境は不確実性を増している
②平成20年度の期首の投下総資本:4,907百万円、総資本営業利益率:9.7%
③平成21年度の総資本営業利益率:前年並み or 景気が減速すれば-2.5%、確率:1/2
④負債の平均資本コスト:4.9%
⑤支払利息以外の営業外損益および特別損益:ゼロ
制約条件:
(設問1)計算結果は%で解答、小数第3位を四捨五入する
(設問2)本社(土地及び建物)を売却、18億円のキャッシュフロー、全額負債の返済に充当、景気変動
→本社の売却益を全額負債の返済
→金利負担の減少
解答へのアプローチ!
(設問1)
前年並み:営業利益=総資本5,012×総資本営業利益率9.7%=486.164
景気減速:営業利益=総資本5,012×総資本営業利益率-2.5%=-125.3
支払利息=負債総額3,731×負債の平均資本コスト4.9%=182.819
前年並み:税引前利益=営業利益486.164-支払利息182.819=303.345
景気減速:税引前利益=営業利益-125.3-支払利息182.819=-308.119
前年並み:税引前自己資本利益率=税引前利益303.345÷自己資本1,281=23.68%
景気減速:税引前自己資本利益率=税引前利益-308.119÷自己資本1,281=-24.05%
税引前自己資本利益率の期待値
=23.68%×1/2+(-24.05%)×1/2=11.84-12.03=-0.19%
→ムリ! 本試験では緊張しているし、間違える可能性大。
→(設問2)の文章問題だけは何とか得点しよう!
(設問2)
何言ってるかさっぱりわからん!こういった場合は、常識的な範囲内で解答を作ろう!
①基本的に問題点を解決するために、設問を解いているはずだ。
②そうした場合、負債が返済されると何かが改善されるはず。
③税引前自己資本利益率のバラツキは小さくなった方が改善された気がする。
じゃ、理由づけ
④負債返済により金利負担が減少する
⑤景気変動により売り上げ減少するも利益率の低下が抑えられる
→結論部分は「税引前自己資本利益率のバラツキは小さくなる。」で答えよう!
→理由部分は④と⑤をうまくまとめよう!
問題の階層を考える!
経営分析
→経営指標:自己資本比率(借入金)における問題点の解決
財務事例の対応方法
以上から導き出した解答:
(設問1)
-0.19(%)
(設問2)
税引前自己資本利益率のバラつきは小さくなる。理由は、本社の売却益を全額負債の返済に充当することにより、景気変動で売り上げが減少した場合でも金利負担が減少し、利益率の低下が抑えられるためである。96字
2010年6月9日水曜日
事例問題にしがみつく方法(平成21年度 財務 第1問)
さあ、平成21年度事例のラスト、財務事例だ。
財務事例の中で最も重要なのが経営分析だ。配点比率も高く、その後続く設問と密接に関係する部分だからだ。毎年、第1問で経営分析を聞いてくるので、どのような解答を書くのかはあらかじめ準備できる。この点は、財務事例の対応方法で説明しているので確認をして欲しい。
第1問(配点40点)
D社の平成20年度の財務諸表を用いて経営分析を行い、この企業の財務上の長所・短所のうち重要と思われるものを3つ取り上げ、その各々について、長所・短所の根拠を最も的確に示す経営指標を1つだけあげて、その名称を(a)欄に示し、経営指標値を計算(小数第3位を四捨五入すること)して(b)欄に示した上で、その長所・短所が生じた原因をD社のこれまでの経営状況に照らして(c)欄に60字以内で説明せよ。
まず題意から考えよう!
題意:
(a)長所・短所の根拠を最も的確に示す経営指標を示せ
(b)(a)で示した経営指標値を計算せよ
(c)長所・短所が生じた原因を説明せよ
解答の骨子 (c)について
例:長所・短所が生じた原因は、~ためである。
※60字と字数が少ないが、ここでも因果関係に注意して書くようにする。
→「~により、~である」「~のため、~である」という表現を使う。
次に制約条件を考える!
制約条件:
(a)長所・短所の根拠を最も的確に示す
(b)小数第3位を四捨五入する
(c)D社のこれまでの経営状況に照らして
→財務諸表上の数字(定量的な情報)が悪化したことを単に述べるだけではダメ!
→与件で与えられたD社の経営状況(定性的な情報)も踏まえて分析を行う
与件を活用する!
とりあえず、機械的に代表的な経営指標は計算してしまおう!
財務諸表より(D社/同業他社)
○売上高対総利益率 …25.08%/20.92%
○売上高対営業利益率…8.48%/3.99%
○売上高対経常利益率…4.83%/1.81%
○棚卸資産回転率 …7.11回/6.03回
×有形固定資産回転率…2.62回/4.53回
○売上債権回転率 …5.84回/5.20回
×流動比率 …137.20%/144.22%
○当座比率 …90.04%/88.39%
×自己資本比率 …25.56%/29.45%
以下の経営指標は、与件に費用面の記述があった場合に考慮する。
○売上高対売上原価率…74.92%/79.08%
○販売費・管理費比率…16.59%/16.93%
※売上高対人件費比率は不明
→利益率は同業他社と比べて良好である:長所
→同業他社より悪い指標は有形固定資産回転率、流動比率、自己資本比率である
→この中から利益率、回転率、安全性を選択すると、
利益率:与件からどの利益率を選ぶか判断する
回転率:最も資産効率の悪い「有形固定資産回転率」を選択する
安全性:「流動比率」と「自己資本比率」は与件からどちらを選ぶか判断する
①
「D社は高い縫製加工技術による自社製品に定評を有しており、その技術力から国内大手のY社より有名ブランド品のOEM生産を受託している」
「自社ブランドを立ち上げ、最近では米国等への海外輸出も手がけている」
→高い縫製加工技術
→大手Y社より有名ブランド品のOEM生産を受託
→自社ブランドの海外輸出
⇒高い技術、ブランドによる高付加価値製品:収益性が高い
②
「事業の拡大に伴って手狭になったため隣地の中古不動産を買い増ししてきた」
→駅前という地価が高い場所で中古不動産を買い増し
⇒有形固定資産の増加:資産効率が悪い
③
「本社を売却した場合、18億円の手取りのキャッシュフローが得られるので、これを全額負債の返済に充当する」
→18億円もの負債を抱えている
→中古不動産を買い増し時に長期借入金による資金調達
⇒借入金の増加:資本の安定性が低下
問題の階層を考える!
経営分析
→財務事例の環境分析
財務事例の対応方法
以上から導き出した解答:
財務事例の中で最も重要なのが経営分析だ。配点比率も高く、その後続く設問と密接に関係する部分だからだ。毎年、第1問で経営分析を聞いてくるので、どのような解答を書くのかはあらかじめ準備できる。この点は、財務事例の対応方法で説明しているので確認をして欲しい。
第1問(配点40点)
D社の平成20年度の財務諸表を用いて経営分析を行い、この企業の財務上の長所・短所のうち重要と思われるものを3つ取り上げ、その各々について、長所・短所の根拠を最も的確に示す経営指標を1つだけあげて、その名称を(a)欄に示し、経営指標値を計算(小数第3位を四捨五入すること)して(b)欄に示した上で、その長所・短所が生じた原因をD社のこれまでの経営状況に照らして(c)欄に60字以内で説明せよ。
まず題意から考えよう!
題意:
(a)長所・短所の根拠を最も的確に示す経営指標を示せ
(b)(a)で示した経営指標値を計算せよ
(c)長所・短所が生じた原因を説明せよ
解答の骨子 (c)について
例:長所・短所が生じた原因は、~ためである。
※60字と字数が少ないが、ここでも因果関係に注意して書くようにする。
→「~により、~である」「~のため、~である」という表現を使う。
次に制約条件を考える!
制約条件:
(a)長所・短所の根拠を最も的確に示す
(b)小数第3位を四捨五入する
(c)D社のこれまでの経営状況に照らして
→財務諸表上の数字(定量的な情報)が悪化したことを単に述べるだけではダメ!
→与件で与えられたD社の経営状況(定性的な情報)も踏まえて分析を行う
与件を活用する!
とりあえず、機械的に代表的な経営指標は計算してしまおう!
財務諸表より(D社/同業他社)
○売上高対総利益率 …25.08%/20.92%
○売上高対営業利益率…8.48%/3.99%
○売上高対経常利益率…4.83%/1.81%
○棚卸資産回転率 …7.11回/6.03回
×有形固定資産回転率…2.62回/4.53回
○売上債権回転率 …5.84回/5.20回
×流動比率 …137.20%/144.22%
○当座比率 …90.04%/88.39%
×自己資本比率 …25.56%/29.45%
以下の経営指標は、与件に費用面の記述があった場合に考慮する。
○売上高対売上原価率…74.92%/79.08%
○販売費・管理費比率…16.59%/16.93%
※売上高対人件費比率は不明
→利益率は同業他社と比べて良好である:長所
→同業他社より悪い指標は有形固定資産回転率、流動比率、自己資本比率である
→この中から利益率、回転率、安全性を選択すると、
利益率:与件からどの利益率を選ぶか判断する
回転率:最も資産効率の悪い「有形固定資産回転率」を選択する
安全性:「流動比率」と「自己資本比率」は与件からどちらを選ぶか判断する
①
「D社は高い縫製加工技術による自社製品に定評を有しており、その技術力から国内大手のY社より有名ブランド品のOEM生産を受託している」
「自社ブランドを立ち上げ、最近では米国等への海外輸出も手がけている」
→高い縫製加工技術
→大手Y社より有名ブランド品のOEM生産を受託
→自社ブランドの海外輸出
⇒高い技術、ブランドによる高付加価値製品:収益性が高い
②
「事業の拡大に伴って手狭になったため隣地の中古不動産を買い増ししてきた」
→駅前という地価が高い場所で中古不動産を買い増し
⇒有形固定資産の増加:資産効率が悪い
③
「本社を売却した場合、18億円の手取りのキャッシュフローが得られるので、これを全額負債の返済に充当する」
→18億円もの負債を抱えている
→中古不動産を買い増し時に長期借入金による資金調達
⇒借入金の増加:資本の安定性が低下
問題の階層を考える!
経営分析
→財務事例の環境分析
財務事例の対応方法
以上から導き出した解答:
①
(a)売上高総利益率
(b)25.08%
(c)長所が生じた原因は、高い縫製加工技術を有し、大手Y社のOEM生産や自社ブランドの海外輸出により、収益性が高いためである。60字
②
(a)有形固定資産回転率
(b)2.65回
(c)短所が生じた原因は、中核都市の駅前に本社を構え、隣地の不動産を買い増ししたことにより、資産効率が悪くなったためである。59字
③
(a)自己資本比率
(b)25.56%
(c)短所が生じた原因は、隣地の不動産を買い増しする際、長期借入金を中心に資金調達したことで、資本の安定性が低下したためである。61字
2010年1月20日水曜日
各事例の対応方法 財務事例
財務 事例
事例問題を解く際は、全事例共通して次の順番で考察していく。
1.事例会社(社長)の経営理念を確認する。
2.SWOT分析による外部環境分析と内部資源分析を行う。
3.経営戦略(ドメイン)の設定を行う。
4.事業戦略の構築および機能別戦略の構築を行う。
財務事例の場合は、「4.」の段階で財務戦略を考えることになる。
財務戦略
財務事例の場合もSWOT分析を行う。分析した結果をもとに第1問目の経営分析で事例企業の財務的な問題点を指摘し、続く第2問目以降でこの問題点を解決していく形だ。
財務戦略の基本は経営分析だ。経営分析は、損益計算書や貸借対象表の数字、つまり売上高や在庫量などの定量的な分析だけではなく、与件で与えられた外部環境の変化や事例企業の状況といった定性的な分析も加えて行わなければならない。つまり、利益率の数字が悪化したことを単に回答するのではなく、数字が悪化した原因まで考えて回答を行わなければならないということだ。
経営分析で指摘した問題点は、後に続く設問で解決していく。まず、損益分岐点分析やキャッシュフロー分析を通して問題の原因究明がなされる。次に、投資の経済性計算や商品ミックスの最適化を考察することにより、商品開発力や限界利益率の向上を図ることで収益性を改善していく。
経営分析 主な指標
売上高対総利益率
→商品の低価格化、多様化、値引き圧力などの与件情報があるとき
売上高対営業利益率
→利益を圧迫している販管費、人件費などの与件情報があるとき
売上高対経常利益率
→借入金による金利負担が大きいなどの与件情報があるとき
商品(棚卸資産)回転率
→商品の多品種化による在庫増加などの与件情報があるとき
有形固定資産回転率
→有形固定資産の有効活用ができていないなどの与件情報があるとき
売上債権回転率
→与信管理がうまくいっていないなどの与件情報があるとき
流動比率
→全体的に流動資産が少なく、短期支払い能力の低さを指摘するとき
当座比率
→特に現金・預金が減少しており資金繰りが厳しいとき
自己資本比率
→借り上げ金が多いとき
売上高対売上原価率
→売上原価が特に大きく、費用負担を強調したいとき
販売費・管理費比率
→販管費が特に大きく、費用負担を強調したいとき
売上高対人件費比率
→人件費が特に大きく、費用負担を強調したいとき
経営分析 問題点の書き方
利益率
~(与件の問題点)のため、収益性が低い点である。
~(与件の問題点)のため、収益を圧迫している点である。
回転率
~(与件の問題点)のため、資産効率が悪い点である。
安全性
流動比率、当座比率:~(与件の問題点)のため、短期支払い能力が低い点である。
自己資本比率:~(与件の問題点)のため、資本の安定性が低下している点である。
損益分岐点分析とキャッシュフロー分析への対応は必須
損益分岐点分析の言い回し例
>D社が経営政策をこのまま続けると、変動費率は一定のため、売上高の減少に伴い、
固定費を賄いきれず営業赤字に陥る状況になる。
>平成17年度の損益分岐点の特徴は、平成16年度に比べて労務費や減価償却費等の
固定費が増加するものの、販売単価の上昇や運搬費の削減効果などで限界利益率が
向上する結果、損益分岐点比率が改善されることである。
キャッシュフロー分析の言い回し例
>D社は、営業赤字や在庫増加による営業活動キャッシュフローの減少を
投資・財務活動で賄えずキャッシュが流出している状況である。
>D社のキャッシュフローは減少している。理由は、売上債権や営業外費用の増加が影響して
営業活動によるキャッシュアウトおよび投資活動によるキャッシュアウトを財務活動による
キャッシュインで補えなかったためである。
事例問題を解く際は、全事例共通して次の順番で考察していく。
1.事例会社(社長)の経営理念を確認する。
2.SWOT分析による外部環境分析と内部資源分析を行う。
3.経営戦略(ドメイン)の設定を行う。
4.事業戦略の構築および機能別戦略の構築を行う。
財務事例の場合は、「4.」の段階で財務戦略を考えることになる。
財務戦略
財務事例の場合もSWOT分析を行う。分析した結果をもとに第1問目の経営分析で事例企業の財務的な問題点を指摘し、続く第2問目以降でこの問題点を解決していく形だ。
財務戦略の基本は経営分析だ。経営分析は、損益計算書や貸借対象表の数字、つまり売上高や在庫量などの定量的な分析だけではなく、与件で与えられた外部環境の変化や事例企業の状況といった定性的な分析も加えて行わなければならない。つまり、利益率の数字が悪化したことを単に回答するのではなく、数字が悪化した原因まで考えて回答を行わなければならないということだ。
経営分析で指摘した問題点は、後に続く設問で解決していく。まず、損益分岐点分析やキャッシュフロー分析を通して問題の原因究明がなされる。次に、投資の経済性計算や商品ミックスの最適化を考察することにより、商品開発力や限界利益率の向上を図ることで収益性を改善していく。
経営分析 主な指標
売上高対総利益率
→商品の低価格化、多様化、値引き圧力などの与件情報があるとき
売上高対営業利益率
→利益を圧迫している販管費、人件費などの与件情報があるとき
売上高対経常利益率
→借入金による金利負担が大きいなどの与件情報があるとき
商品(棚卸資産)回転率
→商品の多品種化による在庫増加などの与件情報があるとき
有形固定資産回転率
→有形固定資産の有効活用ができていないなどの与件情報があるとき
売上債権回転率
→与信管理がうまくいっていないなどの与件情報があるとき
流動比率
→全体的に流動資産が少なく、短期支払い能力の低さを指摘するとき
当座比率
→特に現金・預金が減少しており資金繰りが厳しいとき
自己資本比率
→借り上げ金が多いとき
売上高対売上原価率
→売上原価が特に大きく、費用負担を強調したいとき
販売費・管理費比率
→販管費が特に大きく、費用負担を強調したいとき
売上高対人件費比率
→人件費が特に大きく、費用負担を強調したいとき
経営分析 問題点の書き方
利益率
~(与件の問題点)のため、収益性が低い点である。
~(与件の問題点)のため、収益を圧迫している点である。
回転率
~(与件の問題点)のため、資産効率が悪い点である。
安全性
流動比率、当座比率:~(与件の問題点)のため、短期支払い能力が低い点である。
自己資本比率:~(与件の問題点)のため、資本の安定性が低下している点である。
損益分岐点分析とキャッシュフロー分析への対応は必須
損益分岐点分析の言い回し例
>D社が経営政策をこのまま続けると、変動費率は一定のため、売上高の減少に伴い、
固定費を賄いきれず営業赤字に陥る状況になる。
>平成17年度の損益分岐点の特徴は、平成16年度に比べて労務費や減価償却費等の
固定費が増加するものの、販売単価の上昇や運搬費の削減効果などで限界利益率が
向上する結果、損益分岐点比率が改善されることである。
キャッシュフロー分析の言い回し例
>D社は、営業赤字や在庫増加による営業活動キャッシュフローの減少を
投資・財務活動で賄えずキャッシュが流出している状況である。
>D社のキャッシュフローは減少している。理由は、売上債権や営業外費用の増加が影響して
営業活動によるキャッシュアウトおよび投資活動によるキャッシュアウトを財務活動による
キャッシュインで補えなかったためである。
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